「8割近くが給与に不満」「過労死ライン超えの職場の割合は…」 消化器外科医激減で医療崩壊の懸念が
楽して稼げる科に流れてしまう問題
研修医は2年間、さまざまな診療科を経験したのち、自身の専門を決める。どこを選ぶかは基本的に自由。長い勉強時間にトレーニング期間、決して安くない学資をつぎ込んだ最終段階で、激務のわりに収入の低い科より楽をして稼げる科に流れるのはやむを得ない。だから、消化器外科医は減少の一途をたどっているのである。 悪循環はすでに始まっている。いかに「チーム制」で負担を分け合ったところで、メンバーが減れば個々の負担が増えていく一方だから、若手医師はますます振り向かない。「医は仁術」の精神を体現しようにも、その担い手が消えようとしているのだ。 緑 慎也(みどり・しんや) 1976年大阪府生まれ。 出版社勤務後にフリーとなり、科学技術などをテーマに取材・執筆活動を行う。著書に『13歳からのサイエンス』(ポプラ新書)、『認知症の新しい常識』(新潮新書)、『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』(共著、講談社)など。 「週刊新潮」2024年11月7日号 掲載
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