【田嶋陽子さん】日本のフェミニズムの先駆者が、バッシングを浴びてもテレビに出続けた理由とは?
おとなしくしていてはだめ! 連帯して声をあげて
――先生が発言することで、当時から少しずつ社会がよい方向に変わっていったように感じられます。 田嶋さん:ただ、番組で共演していたおじさんたちはひどかった。そのおじさんたちは、女性たちが解放され男と同じような権利を持つことがいちばん嫌だったの。女性たちを閉じ込めることでいかに自分たちが得をしているかをはっきりとわかっているからこそ、社会が変わっていくことにすごく抵抗していました。 だからハナから、私の話を聞こうだなんて思っちゃいないんですよ。こっちが一言なんか言っただけで、わーっと寄ってたかって否定しにくるので、会話を続けられない。いつも会話の途中で遮られてしまう。本当に悔しかった。 ――2010年代後半に始まった#MeToo運動などを経て、少しずつ女性も声をあげやすくなってきましたが、まだまだ女性差別の雰囲気もはびこっているように感じます。この社会にどう立ち向かっていけばいいでしょうか。 田嶋さん:自分は何がどうなったら生きやすくなるか、よく考えたらどうでしょう。あなたたち、びっくりするくらいおとなしいじゃない! 自分は社会のこんなところがイヤなんだと、まず口に出し、文字に書き、表現することが大事じゃないですか? みんなでブウブウ言わないと! もっと声をあげないと! 選択的夫婦別姓だって、30年前から問題視されているのに、まったく実現しないです。 まずは怒っていることを、権力を持っている人間にきちんと理解してもらわないと。一人ずつ伝えると無き者として扱われてしまうかもしれないから、今ならSNSで発信して、まわりの人たちと手を取り合って連帯するのがいいと思います。 田嶋陽子 1941年岡山県生まれ。静岡県で育つ。元法政大学教授。1991年に『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日)に出演して注目を集め、その後はフェミニズム研究者として著書10数冊。またオピニオンリーダーとしてマスコミで活躍。還暦を過ぎてからは、シャンソン歌手、書アート作家としても活動。2023年、シニアハウスに入居したことが話題に。最新刊は『わたしリセット』(文春新書)。 撮影/上澤友香 取材・文/高田真莉絵
「わたしリセット」田嶋陽子 ¥1100(文春新書)