長崎の原爆資料館、デジタル技術活用「没入型」で核兵器の脅威体験…来年被爆80年で新設案
来年の被爆80年を機に進めている長崎原爆資料館の展示更新について、長崎市は18日、基本設計案を同館の運営審議会で提示した。デジタル技術を活用した「没入型」の展示の新設など、具体的な展示内容や手法を盛り込んだ。
市は4月に展示更新に向けた基本計画を策定。6~8月には、小学生や留学生を含む長崎大生らを対象にワークショップを実施し、利用者の視点での意見を踏まえて基本設計案を作成した。
案では、核兵器開発の歴史や脅威、長崎と世界の反核運動を紹介する「核兵器のない世界」のコーナーを全面的に更新。核実験の映像が流れる画面に囲まれた小部屋の中で核兵器の脅威を疑似体験できる没入型の展示や、爆心地付近の復興の様子がわかるジオラマなど、三つに区分けして新しい展示を設ける。
また、被爆前後の長崎を紹介するコーナーや、被爆者の証言映像などを閲覧できる情報メディアコーナーも更新するとした。
委員からは「内部被曝(ひばく)などの放射線の被害も展示してほしい」「なぜ核兵器がなくならないのか、国際政治などの背景からの説明が必要」などの意見が上がった。市は来年3月をめどに基本設計をまとめる予定。展示更新は2026年度以降の完了を目指している。