「本音と建前」が心をむしばむ――イタリア人精神科医が見つめる日本人の不調
弱点は「負け」ではなく、ユニークさ
フランチェスコさんは女子と「セーラームーン」で遊んでいたことで、男子から相手にされなくなったとき、母親から言われたことが生きる力になった。 〈自分の良さや自分のユニークなところを信じて〉 この言葉は、日本人へのアドバイスにもなるかもしれない。 「日本では組織の調和が重んじられるためか、自分の苦手なことや変わっているところは弱点だと、まるで悪いことのように捉える傾向があって、〈弱点があるのは負け〉と考えがちです。でも、弱点はむしろユニークな面だと、もっとポジティブに考えればいいと思います。大切なことは、自分を信じることです。そして自分しかできない能力を磨いておくこと。それが社会的な貢献につながるようになったら、ポジティブな評価になって自信が持てます」 フランチェスコさんがいま、臨床と並行して取り組んでいるのが、「治療に使えるゲームソフト」の開発である。 「僕が作るゲームのキャラクターはいずれも悩みを抱き、絶望を経験するなど、生きづらさを感じているのですが、あることをきっかけに光明を見つける。そのストーリーに感情移入することで、自信を取り戻し、前向きになればと思っています」 ゲームのタイトルは「BELIEVE YOUR LIGHT」。このゲームソフトが、自身が何度となく日本のゲームに助けられてきたフランチェスコさんの日本への恩返しになるのだろう。