北方領土「元島民だけでなく国の問題」 千島連盟理事長語る
11月19、20日にペルーAPEC首脳会議の場と、12月15日にプーチン大統領来日による日ロ首脳会談を控え、北方領土元島民でつくる千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)の脇紀美夫理事長(75)=北海道羅臼町礼文町=が、都内でインタビューに応じ、領土問題交渉進展への期待や日ロ間の現状の動きに対する考えを述べた。 脇理事長は千島連盟としては「あくまで四島一括返還という基本的な考え方は変わっていない」とした上で、歯舞・色丹の2島返還後に平和条約締結を決めた60年前の日ソ共同宣言(1956年)の“後”のところに期待を寄せ、「安倍首相の『新しいアプローチ』に対する期待値は大きい」と、首脳会談による領土問題解決前進に大いに注目していると述べた。合わせて、島返還が実現しても、現在暮らすロシア住民を「追い出すようなことはしてほしくない」と、北方領土を舞台にふるさとを追われる悲劇が繰り返されることがないよう、という考えも示した。
安倍首相からは「強い決意を私なりに感じた」
脇理事長は、今まで北方領土問題の交渉は「スタートラインに着いていない」、「号砲もなっていないという状況」だったと述べ、安倍首相とプーチン大統領の間で頻繁に首脳会談が持たれている現状について、「今回特に期待が大きいという心境」と明かした。2月7日北方領土の日と、10月31日の安倍首相と直接話す機会などを通じ、解決に向けた首相の「強い決意を私なりに感じた」と手ごたえを話した。 日ソ共同宣言の文言を受けた、歯舞・色丹の2島返還に対しては、元島民の出身地がさまざまであることから「あくまで四島一括返還だというこの基本的な考え方は、一貫して、変わってない」と説明。ただし、千島連盟の立場は交渉権がなく、領土問題は国と国との問題として、「連盟としてはその推移を見守りながら、今後の対応を考える」「国の解決策は理解せざるを得ないのでは」と、会談の結果に対しては、あらためて連盟としての動きや方針をまとめることになるという見通しを示した。