「お手本攻撃」広島商 4元号勝利とチーム最多得点記録 センバツ
第94回選抜高校野球大会は第5日の23日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦が行われ、広島商が21世紀枠選出の丹生(福井)を22―7で破った。 スコアだけ見れば、大味な試合。だが、広島商が挙げた22得点の中には、高校野球のお手本ともいうべき攻撃が詰まっていた。 一回。丹生の左腕・井上対策は「低めの変化球を見極めること」だったが、先頭の田丸がボール球の変化球に手を出さず、四球で出塁した。送りバントで二塁に進め、3番・植松が2球目のカーブを中前にはじき返した。緩い球をしっかり引きつけ、コンパクトにセンター返し。四球、犠打、中前適時打。試合開始直後の3人の内容が基本に忠実な攻撃を物語っていた。 全16安打中15本が単打で、うち11本が中堅から逆方向。3安打3打点の植松は「長打を打てる選手がいないので、全員がつなぐ意識を持っている。僕もコンパクトなスイングができた」と胸を張る。二回に5点を挙げて逆転してからはワンサイドになったが、点差が開いても犠打や盗塁を決めるなど、普段通りの野球を徹底した。結局、15四死球と乱れた相手投手陣に助けられた面はあったものの、五つの犠打飛に4盗塁。センバツ記録の1試合最多27得点には届かなかったものの、22得点はチームの春夏通じての最多得点記録を106年ぶりに塗り替えた。 春夏優勝7回を誇る広島商だが、甲子園の白星は20年ぶりで、史上4校目の4元号勝利も達成した。ただ、植松は「収穫はある」と言いつつも、「その分反省の方が多い。(無失策だったが)序盤は守備に焦りがあったし、終盤に集中力が途切れた選手もいた」。メモリアルな白星に浮かれることはなかった。【大東祐紀】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。