カタクチイワシの約8割から検出、懸念されるマイクロプラスチックとは
人体への影響は当面気にする必要なし
釣り人が持ち帰って、天ぷらなどに調理されるケースもあるカタクチイワシ。マイクロプラスチックも一緒に食べてしまう可能性もあるが、高田教授によると、マイクロプラスチック自体は体内にとどまらず排泄されるほか、有毒物質についても私たちがいつも口にする水や食物から摂取する量の方が大きいと考えられるため、当面は気にする必要はないという。だが、今後海に流出するプラスチックごみの量は世界的に増え続けると予想されており、楽観できる状況にはない。 一度、マイクロプラスチックが海の中に流出してしまえば、回収するのは困難だ。したがって、マイクロプラスチックを流出させない取り組みが必要になる。海岸に漂着したプラスチックごみの回収も重要だが、高田教授は、代替材料の開発も含めて、プラスチックの使用量を減らす取り組みがより根本的な解決策として有効と見る。
たとえば、耐水性を備える新素材のセルロースナノファイバーが実用化できれば、レジ袋に使われるポリエチレンの使用量を減らせる可能性がある。セルロースナノファイバーは植物から作るバイオマス素材であり、微生物によって分解できる。 プラスチックの使用量そのものを減らすには、プラスチックごみを可能な限り出さない仕組み作りや意識の浸透など、広範囲な取り組みが必要だろう。難しいかもしれないが、かつて梱包材の主流だった発泡スチロールが、現在はダンボールなどの紙の梱包材にある程度置き換わっている点を考えると、決して不可能ではない。 高田教授は「マイクロプラスチックから生物への化学物質の移動や蓄積の仕組みなど、まだ未解明な部分もあるので突き詰めていきたい」として、これからもマイクロプラスチック分野の研究をさらに前進させたいと話している。 (取材・文:具志堅浩二)