京都の「ブラック・ジャック展」、来場者は平均2時間滞在!? 20代などの若年層客も多く
■ 担当者が偶然発見「京都タワー…のような!?」とは?
そして、絶対見逃せないのが第4章のなかで「カミカイ(神回)」の最後に展示された『ふたりの黒い医者』のエピソードの生原稿だ。金しだいで人の命を助けるブラック・ジャックと金しだいで安楽死を遂げさせるドクターキリコ。互いに相反する立場ながらも真摯に命に向き合う2人が対峙するシーンの背景に、公式Xが呟いて注目を集めた「京都タワー・・・のような!?」が描かれているので、これから来場する人はぜひ探してみて欲しい。さらにこのエピソードだけは、なんと京都会場のみ「生原稿」で全話読めるのもうれしい驚きだ。 同展は、巡回先の各会場でそれぞれキャチコピーを決めており、京都会場では「それでも私は 人をなおすんだっ」。これは、『ふたりの黒い医者』の最後に描かれたシーンの名台詞。三宅学芸員は「ブラック・ジャック自身のアイデンティティを象徴している言葉」として、この言葉に決め、生原稿を眺めていた時に偶然「京都タワー・・・のような!?」を発見したそう。 京都のシンボル「京都タワー」は、昭和39年(1964)に建てられたので、『ブラック・ジャック』開始時には既に建っていたのだが、手塚氏自身が京都タワーだと言及していないため、このような表現になった。 9月22日からは、京都駅ビルで「手塚プロ × 京都芸大 DESIGN LAB」による『ブラック・ジャック DESIGN & ARTWORKS 展』も開催されている。『ブラック・ジャック』の世界観からインスパイアされた若い芸大生の作品群が京都駅構内に展示されるので、京都駅はますますブラック・ジャック一色に。 三宅学芸員は、「昔のマンガ、マンガの古典と思い込んでいる方もいるかもしれませんが、現代にも通じる普遍的なテーマが描かれており、内容を知らなくてもブラック・ジャックの全容が楽しめる展示です。昔からのファンも読んだ年齢や状況によって好きな場面が変わるので、新鮮な気持ちで楽しめると思います」と呼びかけた。 連載50周年記念『手塚治虫 ブラック・ジャック展』は、「美術館「えき」KYOTO」にて10月6日までの開催。料金は一般1100円ほか(宝塚市立手塚治虫記念館、京都国際マンガミュージアム各館の入館券をチケット窓口で提示すると、当日入館料を100円引き)、詳しくは公式サイトにて。 ※「手塚治虫」の「塚」は旧字体 取材・文・写真/いずみゆか