米設備投資、2025年の急増は期待できず-トランプ氏政策が不透明で
(ブルームバーグ): 米製造業者による設備投資は、多くの人が予想していたような選挙後の急増は見られないだろう。1月に就任するトランプ次期大統領が実施する経済政策が不透明なことが背景にある。
最近の調査では、来年の製造業部門の設備投資は緩やかな成長にとどまることが示唆されている。選挙の終了と利下げ開始から急速な伸びが期待されていたが、それは見込めないようだ。
全米製造業者協会(NAM)の会員を対象とした10-12月(第4四半期)の調査では、今後12カ月の設備投資の予想増加率は平均で1.6%にとどまった。米大統領選挙を控えた7-9月(第3四半期)は0.7%だった。
NAMのジェイ・ティモンズ最高経営責任者(CEO)は「特に力強いものではないが、現在の政策に基づいたものでもある」と指摘。期限切れとなる2017年の減税措置を議会が延長し、製造業にとって有利なその他の税制改正法案を迅速に可決すれば、支出はさらに増える可能性があると述べた。
ティモンズ氏は18日、ブルームバーグのワシントン支局でのインタビューで、1-3月(第1四半期)にそのような法案が可決されれば、設備投資は「かなり劇的に」増加し、米国への投資に対する楽観も強まるだろうと語った。一方、法案可決が遅れれば、投資決定も遅れる可能性があるとしている。
米製造業同盟(AAM)のスコット・ポール会長は2025年の設備投資について、税制法案のタイミングに加え、2017年の税制改革法が施行された後のように、企業が設備や施設にかかる費用を即時控除できる規定を利用できるかどうかにかかっている指摘した。
先に発表された供給管理協会(ISM)のサプライチェーン計画予測によると、製造業の25年の設備投資は、金利上昇により妨げられた24年を下回る見通しとなった。
ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長はこの慎重な予測について、トランプ次期大統領が大幅な関税を課すと表明しているため、インフレが再燃し、サプライチェーンが混乱するのではないかとの懸念が背景にあると述べた。トランプ氏が関税を交渉戦術として用いると発言しているため、どの関税を発動するかについても不透明だ。