エルダーソン理事（2023年）

（ブルームバーグ）： 欧州中央銀行（ＥＣＢ）のエルダーソン理事はスロベニア紙デロとのインタビューで、ユーロ圏経済は予想よりも弱く、ＥＣＢ政策委員会は来週の会合で消費者物価への影響を見極める必要があるとの認識を示した。

「最近の多くの指標が、経済成長の下振れリスクがすでに現実のものとなりつつあることを示唆している」と同理事は指摘し、「そのため、これがインフレ見通しにどのような影響を与えるか、慎重に評価する必要がある」と述べた。インタビューは８日に公表された。

金融政策について公にコメントすることがめったにないエルダーソン理事だが、16、17両日の政策委会合に当局者は「オープンな姿勢」で臨むと話した。ＥＣＢは今月の政策委会合をスロベニアで開催するが、今年３回目となる利下げが広く予想されている。

エルダーソン理事は「会合前にわれわれはすべてのデータと分析に留意し、これまで何度も言ってきたように会合ごとのアプローチを取る」としながらも、今後の金利の方向性は「非常に明確」だと語った。

「2025年後半にインフレ率が目標の２％に収束するというわれわれの予測が引き続き確認されれば、景気抑制的な政策スタンスの緩和を段階的に続けていく」とも説明。「同時に、調整ペースについては柔軟性を維持する必要がある」との考えを示した。

サービス業のインフレ率は「依然として高い」が、ＥＣＢの予測では「新たな年に向け低下していく」という。発言内容はＥＣＢのウェブサイトに掲載されたインタビューの英語原稿に基づいている。

中東情勢の緊迫化などの地政学的な緊張を巡り、同理事は「短期的にエネルギー価格や運賃、その他の輸送コストを押し上げ、世界貿易の混乱を招き、物価高につながる可能性がある」と警告。また、「賃金が予想以上に上昇したり、利益率が上がったりした場合にも、インフレ率が上昇し得る」と話した。

インフレの下振れリスク要因として、「米国および世界的な経済環境において、需要が予想を下回るか予期せぬ悪化が生じる」可能性を挙げた上で、ユーロ圏の「成長はわれわれの予測を若干下回っている」と述べた。