昔のターボ車は、なぜ走行後にアイドリングしてた?「アフターアイドリング」が必要なくなった理由と「ターボタイマー」とは
今どきのターボ車にアフターアイドリングは不要
かつて、ターボ車のオーナーにとって時には煩わしくもあり、高性能なクルマの所有欲を満たす行為でもあったのが、走った後に行う数分間のアフターアイドリングです。すぐにエンジンを切ったほうが考えるまでもなくガソリンは節約できますが、なぜこんなエコロジーの対極といえる「儀式」が必須とされていたのでしょうか。 【画像】ターボタイマーって覚えていますか? 今や聞かなくなった「アフターアイドル」を見る(全5枚)
ベアリングの焼き付き防止でおこなっていた
ターボ車でアフターアイドリングをしていた理由は、高温になったタービンのベアリングの焼き付き防止で、アフターアイドリングである程度まで冷却するというわけだ。取扱説明書などに「走行後は1~3分間アイドリングして下さい」と明記されているクルマも多かったが、1990年代の半ばになるとターボ車が市場から減りアフターアイドリングを見る機会も少なくなっていった。 なお当時のターボ車で圧倒的な装着率を誇っていたのが、キーを抜いても一定の時間エンジンが停止しない、通称「ターボタイマー」と呼ばれるチューニングパーツ。アイドリングの時間を自分で細かく設定できるうえ、施錠してクルマから離れても盗難に遭う心配がない。 余談だが30年ほど前に筆者がAE86にタービンを後付けしたときも、ターボタイマーを付け誇らしげにアフターアイドリングしたものだ。そして時代は流れ、ヨーロッパで環境性能や燃費とパワー&トルクを両立した、ダウンサイジングターボが登場し、世界的なトレンドとして日本にも定着する。 しかし昔のようにアフターアイドリングする車両は皆無に近く、自動車メーカーやメディアが必要性を声高に謳うこともない。ターボ車がこれほどまで復権を果たしたにもかかわらず、アフターアイドリングは「懐かしい光景」のまま。その理由を考えてみたい。 まずはタービンの構造が大きく進化したこと。以前はオイルにシャフトが浮いている構造で、エンジンを止めるとオイルの供給が止まり、ベアリングが焼き付く危険性があったのだ。 対して昨今のターボ車で主流といえるボールベアリング式は、オイルに対する依存度が低いうえ材質も精度も飛躍的に向上。加えてタービンのクーリングに油冷と水冷を併用していたり、オイルも昔のターボ車が席巻した時代より高性能になるなど、あらゆる分野の技術が進化した賜物と考えていいだろう。