「令和の福袋」に見える必死な工夫、「まあ、こんなもんか…」で許されなくなった世の中の事情
中身が判明しているだけの詰め合わせならただの「超お得な詰め合わせ」でしかないのだが、ワクワク感を喚起する運要素が含まれる場合もあって、それらがこうした詰め合わせをさらに福袋然とさせている。 まず、“予約抽選販売”システムである。事前に予約を受け付けて、当選者だけが購入に至ることができる。お得すぎる福袋の購入権それ自体がアタリとなる、令和福袋の運要素である。 ● 予約直後から100~200人待ち 運に大きく左右されるモスの福袋 “早いもの勝ち”システムを採用している企業もあるが、人気の福袋だとそこにも運要素が介在してくる。たとえば毎年楽しみにされているモスバーガーの福袋は、予約開始直後からサイトの予約画面で100~200分待ちと表示される。ここまで人気の“早いもの勝ち”だと、購入できるか否かに運が大きく関係してくるのであった。 そして、「入っているかはわからない、プラスアルファのおまけ」を入れる企業もある。マクドナルド2025年版の場合、10%の確率で「金のマックカード500円分」が入っている。 牛丼の松屋では、ダイソンの掃除機やiPad Airなど高級家電が総額100万円相当用意されていて、これが必ず誰かに当たることとなっている。 注目したいのは、その豪華な内容もさることながら、それを伝える公式サイトのテンションで、よその企業とは趣きがちょっと違うので、興味がある人はぜひ見てもらいたい。 【参考】 松屋 オンラインショップ 2025年 懸賞付き新春福袋 16種30食 https://e-shop.matsuyafoods.co.jp/products/fuku-k2025?srsltid=AfmBOorzDT1Ds46ogShMpHYOpyRMYyOt0rjrMw4HOFXo8ya5fhQuOTjn
● “超お得”でもどこで差がつくのか 超人気マックの福袋が抱えるリスク どこで買ってもお得だらけの令和福袋だが、これがずらりと並ぶと「どこのは良くて、どこのは良くない」という話が自然に出てくる。令和福袋はどこで差がつくのか。 まず大前提として、「その企業・チェーンがどれくらい好きか」というのが関係してくるが、福袋の購入はSNSなどで得られる印象だと、そのチェーンを愛する固定ファン以外の“浮動ファン”の割合が大きそうなので、ここでは浮動ファンに絞って話を進めていく。 大まかにいってこれは、グッズの良し悪しと商品券の使いやすさで差が出る。 まずグッズの良し悪しについてだが、たとえばマクドナルドだと、niko and...とコラボした2020年版福袋では、グッズのひとつであったポテトタイマー(ポテトが揚がったのを知らせる、あのマクドナルドの特徴的なメロディーを奏でる)が大きな話題を呼んだ。オリジナルグッズは当たれば強いし面白さを持たせやすいが、外すと見向きもされないという難しさがある。 そこで、福袋にオリジナルグッズを入れることはもうせず、何かのキャラとコラボしている企業も増えている。今年だとモスバーガーがテレビアニメ『ONE PIECE』、ロッテリアはリラックマ、ドトールはサンリオのクロミちゃん、ミスタードーナツはポケモン……(ミスドのポケモンは7年目でもはや恒例)といった具合である。 商品券の使いやすさはとは何か。先のマクドナルドの例では、「指定の商品との無料引換券」という塩梅だったが、ほかのあり方には「指定商品の値引きクーポン」や、「会計時に自由に使える○○円券x10枚」などがある。日常的にその店を利用する消費者なら値引きクーポンでも喜ぶが、○○円券の方が汎用性が高く楽に使えるため、浮動ファンからは喜ばれやすい。