「令和の福袋」に見える必死な工夫、「まあ、こんなもんか…」で許されなくなった世の中の事情
年の瀬が迫り、そろそろ話題になってくるのが正月の福袋である。正月の風物詩としてお馴染みの光景ではあるが、昨今の福袋は昔と事情が違うところもある。そんな中で人気が高いのは?知られざる「令和の福袋」事情をお伝えする。(フリーライター 武藤弘樹) ● 従来型福袋からどう変化? 「令和福袋」の実態とは 日本人が親しんできた“福袋”の起源は、なんでも江戸時代の越後屋(現・三越)が生地の余りを入れた「えびす袋」と呼ばれるものにまで遡るそうである(※諸説あり)。その後評判を読んで、世の中に根付き、全国各地にそのやり方が伝わった。 現在の福袋商戦はバブル期あたりから例年の風物詩として定着したようで、今日に至る。その“福袋”が、令和に入ってかなり形を変えつつある。 一昔前の福袋、1980年生まれの筆者が親しんできた福袋には、以下のような特徴がある。 ・年始にデパートで売られるものが代表的。それに追随して、各ショップなど独自の福袋も出てきた。 ・中身はわからないが、総額ではだいたいお得。 ・あたりかハズレかワクワク感がある。 一方、近年の福袋(本稿では便宜的に“令和福袋”と呼ぶことにする)の特徴は以下である。 ・全国チェーンの小売業や飲食店が結構な割合で販売している。 ・多くは年末から予約・販売が開始される。企業によっては季節ごとなど、年に複数回福袋を販売することもある。 ・中身はほぼわかっている。金額的にはお得な仕様。 ・ギャンブル要素は薄い(くじ要素が持たされたものもある)。 これらの変化も、ひとつひとつ紐解いてみると、しかと理由があるようで面白い。そして令和の福袋事情を見ることで、世相も解析できるのであった。
● マクドナルドを例に見る 令和福袋のひな型 中に何が入っているかわからない従来型福袋も、現行の福袋の王道パターンではあって、このタイプだと女性に人気のルームウェア・ジェラートピケの福袋は毎年好評である。 「○○などが入って計5点」とざっくり紹介されていて、具体的にどんなアイテムが入っているかは開けるまでのお楽しみである。アパレルブランドが取りやすいスタイルであり、そのブランドのファンにとっては総額で計算するとものすごくお得に買えるので、ぜひともほしい宝箱となる。 令和福袋はそれに対してオルタナティブであり、新時代でもうひとつの王道となり得る新たな選択肢として、消費者に歓迎されている。その特徴をもう少し掘り下げて紹介する。 マクドナルドを例に見てみよう。マクドナルドの2025年版(現行版)の中身は全て明らかにされていて、「複数のオリジナルグッズ+商品無料券3610円相当」が、3480円で手に入る福袋である。 商品無料券だけで総額分の元は取れる上に、オリジナルグッズがプラスされるならどう考えてもお得しかない……これが令和福袋のひな型である。 近年のマクドナルドの場合、福袋のグッズは毎年ブランドとのコラボで、一昨年はCHUMS、昨年はBRUNO、今年はBEAMS DESIGNが手掛けている。これらのブランドがマクドナルドにちなんだグッズ開発を監修する。 今年はビッグマックを模した「ビッグマックランタン」や手を汚さずポテトが食べられる「ポテトハンドキャッチャー」が注目されている。これに加えて、オリジナルデザインのポーチ、クリーナークロスで計4点が福袋のグッズとなる。 商品無料券は細かく内訳があって、「ベーコンレタスバーガーx1枚、マックフライポテト Mサイズx2枚……」と、引き換えられる商品が指定されている。