TPP以外にも 日本が取り組む「メガFTA」にはどんなものがある?
日EU・FTA
日本とEUのFTAは、2015年の大筋合意を目標に2013年に交渉が開始されました。人口では世界の9%と小さいですが、GDPでは30%を占めます。自動車、電機電子製品の日本の競合国である韓国は2012年にEUとFTAを結びました。韓国企業はEU輸出に際して関税を支払わなくてすむのに対し、日本製品には課税されるため日本企業は非常に不利になりました。そのため、日本はEUとのFTAを強く望んでいましたが、EUは消極的でした。日本ではEUが輸出する工業製品の7割は無税となっている一方で、日本のEU輸出の65%は課税されているためです。 しかし、TPP交渉に日本が参加を検討し始めるとEUの姿勢が変わりました。日本がTPPに入ると日本市場でEU企業は米国企業に対して不利になるからです。日本はEUに対して自動車や電機電子製品の関税撤廃を要求し、EUは自動車、化学品、食品、医薬品、医療機器などの規格・基準などの非関税障壁撤廃・軽減と政府調達へのEU企業の参入を要求しています。なお、EUはワインや乳製品など食品・農産品の関税削減・撤廃も求めています。 交渉分野は関税と非関税障壁だけでなく、サービス貿易、投資、知的財産権など20分野を対象としており、包括的なFTAです。自由化ではEUは92%の品目を10年間で自由化、日本は同じく88%を自由化することで合意した模様です。非関税障壁では、自動車の規格、鉄道分野の調達へのEU企業の参入などで進展があったとされています。今後は、EUが自動車・部品の関税削減にいつ応じるかがポイントになると言われています。 日本での報道はTPPに偏り日EU・FTAは軽視されていますが、日EU・FTAは、非関税障壁という国内措置の撤廃を求めており、日本への影響はTPPに劣らないと言えます。日EU・FTAの実現による日本の実質GDPへの効果は、0.27%増と予測(内閣府)されています。