【「できたて」戦争のコンビニ業界】あらゆる進化は飲食店の“ライバル”にも
帝国データバンクが2024年10月8日に発表した「飲食店」倒産動向によると、2024年1~9月の倒産件数は前年同期比16.5%増の650件。このペースで推移すると通年の倒産件数は新型コロナによる外出自粛が直撃した過去最多20年の780件を上回るペースとしている。 事業規模でみると、10億円以上の倒産はわずか5件だが、1億円未満の小規模倒産が562件に達した。飲食店は「夫婦で1店舗を経営」という小規模な事業者が多く、今後も食材・光熱費の高騰といったあおりを受けての倒産が増えていくとみられる。そうした中で、飲食店に近い味をリーズナブルな価格で楽しめるまちかど厨房は好機となりそうだ。 ローソンは今後、厨房設備を持つという武器を生かしてデリバリー専用メニューであるゴーストレストラン事業の可能性を探っている。「現在、100店舗弱で行っていますが、ウーバーイーツなどのデリバリーサービスと連携し、注文を受けてから作るサービスです。また、マチカフェプラスというカフェ需要を狙うサービスもあり、注文を受けてからフレッシュなバナナなどのスムージーの販売に力を入れています」(塚田マネジャー)。
パン屋が減る中、ドーナツとベーカリーを展開するセブン
セブン-イレブンは「お店で揚げたドーナツ」を9月から首都圏5000店で販売を開始した。7年前にドーナツ販売から撤退したが、今回は販売開始2週間で240万個販売したため、25年2月までに全国展開することを決めた。 商品本部FF・冷凍食品部の米田昭彦シニアマーチャンダイザーは、ドーナツありきで販売をしたわけではないと言う。「レジ横のカウンターフードは、人の生活スタイルの変化に合わせ、どんなチャンスがあるのかを研究してきました。おでんはその1つです。できたて商品を長年、研究する中で、今はパン屋そのものが減っている実態がありました」。 そこで登場させたのが、「セブンカフェベーカリー」だ。現在、直営店などで約1000店舗を展開し、25年3月までに3000店に広げる計画だ。 ではドーナツ販売のアイディアはどこから来たのか?「焼成パンで新商品の開発をしていましたが、できたてというニーズにおいてドーナツにチャンスがあると判断しました。当社はカレーパン用の工場を所有しており、そのインフラ活用です」 ベーカリーは来年までに3000店を目標としているが、ドーナツは開始から5000店で始まった。この差はフライヤーを設置している店は多いが、ベーカリー用のオーブンはそうではないからだ。