トランプ政権誕生で「ビットコイン」はどうなる? “デジタルゴールド”になる可能性も…2025年の展望
■焦点は“ビットコイン法案”の行方
ビットコインの展望を探る上での重要な材料が、暗号資産業界への厳しい取り締まりで知られるSEC(=アメリカ証券取引委員会)のゲンスラー委員長の退任だ。 トランプ氏は、自身が大統領に返り咲けばゲンスラー氏を「就任初日に解任する」と述べていたが、ゲンスラー氏自ら、トランプ氏の大統領就任に合わせて退任すると発表した。 トランプ氏は、後任に暗号資産推進派のポール・アトキンス氏を起用すると発表。これを受け、ビットコインの価格は10万ドルを突破し、トランプ氏も自身のSNSに「おめでとう」と投稿した。 25年の大きな焦点は、共和党のシンシア・ルミス上院議員が提出している“ビットコイン法案”の行方だ。柱は、アメリカ政府が5年間でビットコインの総供給量の約5%にあたる最大100万ビットコインを取得し、「戦略的ビットコイン準備金」を創設することだ。 トランプ氏は24年7月に開催された暗号資産イベント「ビットコイン2024」での演説で、大統領に返り咲けば「アメリカ政府としてビットコインを戦略的に備蓄する」と発言していて、その構想を形にした法案といえる。 さらに、トランプ氏は24年12月、米CNBCのインタビューで「我々は暗号資産で素晴らしいことを成し遂げようとしている。中国や他の国々に支配されたくない。トップに立ちたい」と発言。ビットコインの戦略備蓄の実現に向けて意気込みを示した形だ。この発言を受け、ビットコインの価格はさらに上昇し、史上初めて一時10万5000ドルを突破した(24年12月16日)。 ただ、アメリカを代表するエコノミストの1人で元財務長官のサマーズ氏が、ブルームバーグのインタビューで、ビットコインの戦略備蓄について「常軌を逸している」「なぜ政府はビットコインという不毛な備蓄を選ぶのだろうか」と述べるなど、懐疑的な見方をする専門家もいて、実現するかは不透明だ。
■“周回遅れ”の日本
ビットコインをめぐっては、24年1月にSEC(=アメリカ証券取引委員会)がビットコインを運用対象とするETF(=上場投資信託)の上場申請を初めて承認。これにより、これまでビットコインを直接保有することが難しかった機関投資家らも投資が可能となり、価格が大幅に上昇した。アメリカに続き24年4月に香港が、6月にオーストラリアがビットコインETFを承認している。 世界で暗号資産ETF承認の動きが急拡大していることを受け、日本国内でも動きが出ている。野村証券や三菱UFJ信託銀行などの金融大手と、暗号資産交換業者、法律事務所や税理士法人などで構成する「国内暗号資産ETF勉強会」は24年10月、日本国内での暗号資産ETF承認を目指し、提言書をまとめた。 また、国民民主党は政策として「暗号資産ETFの導入」や「暗号資産を雑所得として課税するのではなく、20%の申告分離課税とすること」などを掲げている。 ただ、石破総理は24年12月2日の衆議院本会議での答弁で次のように述べ、慎重な姿勢を示した。 「暗号資産による所得に20%の税率を適用することに国民のご理解が得られるか、家計が暗号資産を購入することを、国として投資家保護規制が整備されている株式や投資信託のように推奨することは妥当なのか、などの課題があり、丁寧な検討が必要と考えている。また、暗号資産をETFの対象とすることについては、暗号資産を国民にとって投資を容易にすることが必要な資産とすべきかどうかを踏まえ検討する必要がある」 これに対し、国民民主党の玉木氏は自身のSNSで、「石破総理の答弁にはがっかりだ」「ビットコイン大国を目指す米国とどんどん差がついていく」と指摘。各国がアメリカの動きを意識して暗号資産の規制緩和に動く中、日本は“周回遅れ”になっているのが実情だ。 アメリカを「ビットコイン超大国」にすることを掲げるトランプ氏が大統領に就任する25年。ビットコインは“デジタルゴールド”としての地位を確立するのか…。世界は、トランプ氏の一挙手一投足を注視している。