KNT-CT、社長交代と新経営計画を発表、近ツーとクラツーの一体化で、会員統合や共通システムの整備へ
KNT-CTホールディングスは、2024年5月9日開催した記者会見で、代表取締役社長の米田昭正氏の後任に、6月14日付で代表取締役専務の小山佳延氏が昇格する人事を発表した。米田氏は「新型コロナ関連の委託費をめぐる不正対応について自治体への返還など区切りがつき、新たな体制で取り組んでいく」とコメント。引き続き、代表取締役会長に就く。新社長に就任する小山氏は1982年入社で、クラブツーリズムの取締役社長などを歴任している。同日開催予定の定時株主総会と取締役会で正式決定する。 同社はまた、コロナ禍で策定した中期経営計画を見直すと発表。新中計の計画期間は2024年度から2026年度までの3カ年で、「信頼回復と持続的成長に向けたグループ一体運営の強化」をテーマに掲げた。 新中計について具体的には、「信頼回復に向けた企業風土改革の継続」「事業ポートフォリオの再設計」「BtoC事業の価値向上」「人的資源の最適活用」の4点に注力する方針を示した。特に、事業ポートフォリオの再設計、BtoC事業の価値向上については、ホールディングスの事業の中核を担う近畿日本ツーリストとクラブツーリズムの強みを融合し、地域共創事業、訪日事業の拡大に注力する。個人旅行事業は、クラブツーリズムを軸とし、グループ共通システムの整備、会員統合、チャネル・商品構成の最適化を進める。また、旅行産業は女性が多いにもかかわらず、能力を十分に引き出していないとの実態を踏まえ、活躍できる環境の整備を喫緊に進めるとした。
2024年3月期決算は増収減益に
同社は同日、2024年3月期連結決算も発表。売上高は前期比1.3%増の2554億2700万円、純利益は同36%減の75億4000万円の増収減益となった。国際イベントの受注などもあり国内旅行、訪日旅行は順調に推移しているが、減益に関しては個人を中心とした海外旅行の回復の遅れ、新型コロナ関連のBPO事業の受注終了などが影響した。 円安の進行、航空便の不足などでとりわけ懸念される海外旅行については、米田氏が「逃げ水を追いかけているようだ」と言及。法人需要は堅調に推移しているが、消費意欲の遅れから個人旅行需要が停滞しているとの現状を明らかにした。 KNT-CTホールディングスの2023年度営業利益は72億7200万円。2024年度に75億円、2026年度に85億円、長期目標として120億円を目指し、持続的な成長の土台づくりを目指す。
トラベルボイス編集部