"史上最強"ニッポン男子バレー、パリ五輪の注目は?「弱点がない攻撃陣、組織的な守備も武器」
パリ五輪前のFIVB(国際バレーボール連盟)の世界ランキングで、日本は過去最高の2位(7月18日時点)。ブラン監督の手腕や石川の存在も大きいが、今のチームにはほかにも世界トップレベルの選手たちがそろっている。 石川と共にエースアタッカーとしてスタメンを張る髙橋藍(らん)は、前回の東京五輪の年に頭角を現したシンデレラボーイで、安定感抜群のレシーブ力が持ち味。今年3月に日体大を卒業したばかりだが、石川に続くように在学中からセリエAに挑戦し、2023-24シーズンには所属チームのモンツァのリーグ準優勝に大きく貢献。自身はベストレシーバー賞に輝いた。 もちろん攻撃のスキルも高い。イタリアで磨いてきた通常のスパイクはもちろんだが、バックアタックの動作に入りながら空中で味方にトスを上げる"フェイクセット"や、ネットに背中を向けて打つ"変人アタック"など、相手の虚を突き、かつ魅せるプレーで会場を沸かせる。 そのふたりと並んでチームの得点源を担うのが、オポジットの西田有志(ゆうじ)だ。オポジットはサーブレシーブを免除されることが多い攻撃に特化したポジションで、各国とも2m超のアタッカーを起用することが多い。それに比べて、西田は身長186㎝と小柄。ただ、最高到達点が350㎝に達する跳躍力と、相手を吹き飛ばすパワーで得点を量産する。 時速120キロを超える弾丸サーブも世界トップレベルで、ゲームだけでなく、会場の空気をも支配してしまうパフォーマンスは圧巻だ。 そして、彼らの攻撃力を最大限に引き出すのが、どこからでも正確無比なトスを上げるセッター、関田誠大(まさひろ)。身長は175㎝でディフェンス時のブロックではどうしても狙われるものの、その分、レシーブで高い貢献度を示す。コート上を駆け回り、ハードワークもいとわない"日本の心臓"といえる存在だ。 関田のトスワークの特徴は、センターエリアからの攻撃を積極的に絡めること。バックアタックに加えて、ミドルブロッカーたちのクイックを織り交ぜることで相手に的を絞らせず、高いアタック決定率を演出する。 そのミドルブロッカー陣は、長らく「日本の弱点」といわれてきたが、それも今は昔。現在の日本代表で名前を連ねる小野寺太志(たいし)、山内晶大(あきひろ)、髙橋健太郎は、攻守それぞれ特長は違えど、個人の能力でも海外勢に引けをとらない。 3人は総じて身長2mを超えるが、それでも世界の名アタッカーたちはブロックをぶち抜いてくる。しかし、日本の強みはその場面でこそ光る。どの位置でブロックに跳び、その間を抜けたボールをレシーブに入る選手たちがいかに拾うか。チーム内で連係と意思疎通を図り、精度を高めることで相手に決定機を与えない。 その守備の中心となるのがリベロの山本智大(ともひろ)で、的確なポジショニングと反応の速さは抜群。今年のネーションズリーグではベストリベロ賞に輝き、世界で指折りの守護神になった。 今の日本は"ボールが落ちない、落とさない"がプレースタイル。石川も「結局は高さとパワーがモノをいうときもありますが、それ以上にディフェンス力やうまさのあるチームが結果を出しています。世界と比べても、その点、僕たちのほうがボールを上げる回数は多い」と自信を語る。その戦いぶりは、世界中の選手、チームのお手本となっている。 ■国内、海外でも爆発的な人気!!