100m9秒97の日本記録更新サニブラウンは東京五輪でメダルを獲得できるのか?
渡米1年目の昨季は、5月に右脚の付け根付近を痛めた影響でレースに出場する機会はほとんどなかったが、今季は順調にきている。ウエイトトレーニングの成果で体重は5キロほど増加。お尻や太腿の筋肉が大きくなり、キック力がアップした。3月には室内60mで日本記録に並ぶ6秒54を出すなど、課題のスタートも格段に良くなっている。 その反面、100m終盤と、200mの後半については、まだまだ不十分。今後は両種目とももっと記録が伸びると見ていい。 それにサニブラウンの凄いところは、「勝負強さ」にある。15年北京世界選手権200mは同種目史上最年少の16歳5か月で出場して、予選を突破。17年ロンドン世界選手権200mは、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)の最年少決勝進出記録を約6か月更新する18歳5か月で決勝に進出している。 「全米学生選手権は、ナイジェリア人に負け、アメリカ人に負けたので敗北かなと。世界選手権でまた一緒に走ることになると思うので、そこで良い走りができればなと思います。日本選手権は普通に優勝して、世界選手権のキップをしっかり取りたい」 そう話すサニブラウンの“最終目標”は東京五輪のメダルではない。「世界記録」という本当にBIGなものだ。彼は非常にのんびりした性格で、「とりあえずケガをせずにやりきること」を今季の目標にしている。日本メディアの過熱報道を見て、「これぐらいであまり騒がなくても……」というのが本音ではないだろうか。 (文責・酒井政人/スポーツライター)