本物感と「マウント」感を求め、地方へ向かう韓国人旅行者たち
テーマパークの青森、グルメと景観の静岡、うどんの高松
──東北については、観光客誘致に苦戦していると聞きます。なぜ、青森が人気になりつつあるのでしょうか? 東北各地は直行便の増加とともに韓国で認知度が高まっており、人気が出てきています。青森は特殊な例です。 青森の人気は、かなりの割合で「星野リゾート青森屋」に起因しているように思います。 同ホテルには、館内にいながらにして青森の地域資源であるねぷた祭り、リンゴ、日本酒などを体験できる、テーマパークのような設備が整っています。しかも、館内の伝統工芸品や日本酒ブースに職人や業者を連れてきているため、来訪者が地域性と本場感を得やすくなっています。 さらに、韓国のケーブルテレビが同ホテルのプロモーションをおこなっており、番組を見た人がそのまま泊まりに来るという、競合が介在しない独占的な観光サプライチェーンが構築されています。 特に、日本もしくは東北についてほぼ初心者である層には高い満足感を提供できるであろう、と感じます。 ──ほかの地域についてはどうでしょうか? 分かりやすい事例としては静岡が挙げられます。 ご存知の方もいるかもしれませんが、ハンバーグは韓国で大人気の日本食です。静岡には沼津のマグロというSNS映え抜群のグルメがあるだけでなく、ハンバーグの有名店「さわやか」があり、大きな誘客効果があると感じます。さらに、西伊豆の温泉、富士山と魅力的なコンテンツがそろっています。 高松の場合は「うどん力」に引っ張られている部分が大きいです。 こちらについても良く知られたことですが、うどんは韓国でとても人気の日本食です。実は韓国にもうどんがあるんですが、正直、あまりおいしくないんです。安価かつ韓国とは比べ物にならないほどおいしいうどんが香川県内のいたるところで食べられ、さらに、そのうどん作りが体験できる「中野うどん学校」もあります。うどん以外にも、長い階段で知られる金比羅宮とこんぴら温泉郷があります。