「ボキボキボキと聞こえた」 怪物を“ガラスの天才”にさせた大怪我…一変したサッカー人生「膝が弾けた」【インタビュー】
【元プロサッカー選手の転身録】比嘉厚平(柏、秋田、山形)第1回:「浦和のサポーターになりたい」とサッカーの虜に
世界屈指の人気スポーツであるサッカーでプロまでたどり着く人間はほんのひと握り。その弱肉強食の世界で誰もが羨む成功を手にする者もいれば、早々とスパイクを脱ぐ者もいる。サッカーに人生を懸けて戦い続けた彼らは引退後に何を思うのか。「FOOTBALL ZONE」では元プロサッカー選手たちに焦点を当て、その第2の人生を追った。 【写真】「膝が過度に拡張」スタジアムも騒然…“ゾッとする負傷”の瞬間 今回の「転身録」は、年代別代表時代から将来を嘱望されるも、プロ入り前に両膝に重傷を負い、キャリアを通じて怪我と戦った比嘉厚平だ。“ガラスの天才”とも形容された男は、自身のサッカー人生に何を思うのか。(取材・文=小田智史) ◇ ◇ ◇ 埼玉県越谷市出身の比嘉が、サッカーにのめり込むきっかけとなったのは浦和レッズだった。5歳の頃、親戚に連れられて行った駒場スタジアムの雰囲気に圧倒され、「レッズのサポーターになりたい」という思いが芽生えた。レッズのファンクラブに入会し、年間チケットも購入して試合に足を運んだ。 越谷市を拠点とする地元の宮本サッカースポーツ少年団に入ると、2000年には柏レイソルU-12のセレクションに合格して新たな一歩を踏み出す。 「宮本サッカースポーツ少年団は、自分の学年が3人か4人しかいなくて、基本的には1つ、2つ上の学年に交じって試合をさせてもらうことが日常でした。レイソルのセレクションは、毎回受けている知り合いに誘ってもらって、一緒に受けることになったんです。当時、近くにあるジュニアチームはレイソルだけで、自分が通える範囲でと考えた時に一番近くのチームでした。セレクションでは自分を出しきれず、受かると思っていませんでした。昔から足は速かったので、おそらく30m走のタイムが良くて合格になった気がします」 柏レイソルと言えば、アカデミーの選手たちがトレーニングに励むすぐ隣でトップチームが練習し、練習場の隣にはスタジアムもある恵まれた環境だ。それまで、年上に混じって研鑽を積んできた比嘉だったが、当初は「レベルの高さに驚かされた」という。 「レイソルに入って一番衝撃だったのは、指宿洋史(現ウェスタン・ユナイテッド/身長195センチ・85キロ)が見たことないくらい大きくて、強くて、上手くて……。僕は小学5年生の時に入りましたけど、もうその頃には1つ上の学年で飛び級でやっていて、『こんな選手がいるんだ』と衝撃だった。毎日練習についていくのに、ゲームについていくのに必死で、不安でした」