日産、いばらの道か? ホンダから突き付けられたハードルは待ったなし
「日産とホンダが自立した二社として成り立たなければ、経営統合の検討は成就することはない。今回の合意は経営統合に関する検討を開始する段階で、実現に向けては議論する点が存在する。成就しない可能性はゼロではない」 今回の発表は国際競争に生き残るための第一歩という好意的な見方もあります。一方で、会見からはホンダが統合実現に向けて、日産に極めて厳しいハードルを突き付けたようにも見えました。経営統合はあくまでも日産の経営再建が前提である、それも約半年以内に……あたかも成績不振が続くプロ野球選手に下す「来季活躍しなければ、以降の契約はない」という最後通告にも似たものを感じます。 「今回の経営統合を成功させるにはそれぞれの会社がしっかりと自立し、より強くなることが不可欠。現在進めているターンアラウンド(事業再生)を着実に実行し、成果を一日も早く形にすることが当社の大きな責任」 日産の内田社長はこのように応じました。苦境は認識しているはずですが、果たして好転するかどうか……いばらの道が待っていると言わざるを得ません。 今回の経営統合検討の背景には、台湾の鴻海科技集団による日産買収の動きがあったことが指摘されています。会見では「事実はない」(内田社長)「報道で知っているぐらい。鴻海の動きはつかんでいない」(三部社長)と否定し、統合検討はあくまでホンダ・日産の二社で決めたと強調していますが、何らかの力が働いたとみるのは想像に難くありません。 ちなみに、鴻海にはかつての日産で社長候補と目された関潤氏がいます。カルロス・ゴーン氏の失脚、西川広人氏の辞任の後、新生日産のトップは内田氏に決定、関氏は日産のナンバー3、副COOになります。2019年12月の内田社長就任の記者会見では、内田氏とともに出席、「当社はモノをつくる現場、売る現場と経営層の間に大きな隔たりをつくってしまったと思う。この隔たりを少しでも詰めるために、協力して改善に努力していく」と話していました。ホンダからルノー、三菱自動車と渡り歩いたアシュワニ・グプタCOOとともに「トロイカ体制」で臨むはずでした。