小惑星リュウグウは少し角張っている? 「はやぶさ2」順調に接近
小惑星「Ryugu」(リュウグウ)を目指す小惑星探査機「はやぶさ2」の状況について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が14日、JAXA東京事務所で記者会見した。はやぶさ2はリュウグウへ向けて順調に航行を続けており、6月27日前後の到着予定は変わらないと報告した。 【写真】「はやぶさ2」小惑星リュウグウ到着は6月27日前後「いよいよ本番」
●どんな形か想像してみて
はやぶさ2とリュウグウの距離は6月14日現在で750キロと、1週間前の2100キロよりさらに近づいている。JAXAは会見で、はやぶさ2の望遠光学航法カメラで6月13日午後1時50分ごろ撮影したリュウグウの画像を公開した。 これまでの観測で、JAXAはリュウグウについて「ほぼ球形」で「直径約900メートル」と推測しているが、「はやぶさ2」プロジェクトチームの吉川真(まこと)ミッションマネージャは「まだ正確な形や表面の状況は分からないが、少し角張ってるような気もする。少なくとも極端に細長い可能性は排除できた」と現時点の画像解析からの所感を述べた。大きさについては、推定した数字と今のところほぼ一致しているという。 ただ表面にへこみなどがあるのではとの疑問もあるという。「(初代はやぶさが目指した)イトカワは細長かったが着陸にはそれほど問題にならなかった。形よりも表面の平らさ、でこぼこかどうかの方が重要」と語った。 吉川氏は「来週になると(もっと接近するので)かなり解像度が上がってくる」と期待を寄せる。JAXA宇宙科学研究所の久保田孝研究総主幹も「この画像から(リュウグウが)どうなのかと皆さん想像してほしい」と呼びかけた。
●光学航法はなぜ必要?
6月3日に高推進力のイオンエンジン運転を終了したはやぶさ2は、現在は「光学電波複合航法」(光学航法)を用いながら、リュウグウに接近している。 光学航法とは、探査機に搭載したカメラなどで小惑星を確認しながら進む手法。前回の会見では、小惑星到着までのポイントとして、「光学航法による精密な誘導」と「リュウグウに衛星があるかどうか」が挙げられていた。 吉川氏は、今回のはやぶさ2のミッションが、地球から約3億キロも離れたところにある900メートルほどの小惑星への到着であることから、光学航法を使って、探査機とリュウグウの正確な軌道を推定しながら近づく必要があると説明する。遠く離れた宇宙にいるはやぶさ2とリュウグウには、ともに位置に「誤差」があるため、それらを修正しながら航行しなければいけないからだ。 従来の電波航法では、3億キロの彼方の場合、はやぶさ2の位置誤差は約300キロになるが、今回採用した新たな方法(DDOR)によって、約数キロに収められるという。 一方、リュウグウについては、今年5月時点での軌道の位置誤差が約220キロあった。これだけ誤差があると、1キロに満たない小さな天体には到着できない。これを光学航法によって誤差を縮めていく。ちなみに「3億キロ先の約900メートル」とは、日本からブラジルにある6センチの的を狙うのに等しいくらいの難度だという。 はやぶさ2は、リュウグウ到着まで最終的には合計10回の化学エンジンによる軌道修正を予定している。