どうなる? F1界の格差問題
国際自動車連盟(FIA)会長のジャン・トッドは、4月に、この6月に同意される予定だった2015年から開始予定となっていた予算制限計画が廃案となったことを発表した。これはF1の戦略グループを構成するレッドブル、メルセデスAMG、フェラーリ、マクラーレン、ロータス、ウイ リアムズの6チームがいずれもコスト制限に反対したからだ。 しかし、この決定に戦略グループ以外の中小規模の5チームが猛反対。5月6日にイギリス・ロンドン南東部に全チームの代表が終結。問題解決に向 けた会議を開いた。なぜなら、F1チームの経営は、テレビ放映権などのF1の権利を行ってに担っているフォーミュラ・ワン・マネージメント (FOM)から支給される分配金で成り立っており、それは成績上位チームが優遇されるような仕組みとなっているからである。 F1の分配金は、コンコルド協定と呼ばれるFIA、FOM、そして全チームによって締結された契約によって、細かく定められている。それによれ ば、分配金は2つの要素で構成され、1つはコンストラクターズ選手権で過去3年中少なくとも2年間、トップ10でフィニッシュしたチームに全チー ム同額の分配金が支給される。2013年はマルシアをのぞく10チームがいずれも3500万ドル(約35億円)ずつ受け取っている。 もうひとつは前年度のコンストラクターズ順位に基づいた従量制である。これはトップ10のチームしか受け取ることができず、2013年のコンス トラクターズ選手権チャンピオンのレッドブルがもっとも多い約6650万ドル(66億円)を手に入れ、以下10位まで段階的に減額され、コンスト ラクターズ選手権10位のマルシアが受け取った額は1400万ドル(14億円)。11位のケータハムはまったく受け取ることができなかった。 この2つの要素を総合すると、もっとも多くの分配金を受け取っているレッドブルの1億15万ドル(約101.5億円)で、もっとも少ないのはマル シアの1400万ドル(約14億円)。その差はじつに87億円!! これにトップチームは自動車メーカーや大手企業からのスポンサーマネーも加わるので、収入額はさらに広がっており、“F1界の貧富の差”として問題となっているのである。