子どもの貧困の問題支援団体青砥氏らが会見(全文1)雇用と教育、2つの原因
首都圏で家族の中に1人以上の障害や疾患持つ生活保護世帯は56%
青砥:これは私たちが今、生活保護を受けている子どもたちの学習支援活動をしていますけれども、そこの世帯は80%が母子家庭です。親の学歴も中学校卒から高校中退というのが、ほぼ半分います。大学を卒業している母親は、ほとんどいません。学歴差は極めてクリアです。生活保護世帯の家族の中には精神障害、身体障害など、障害や疾患を持っている家族が極めて多いです。 これは私が調べたデータですけれども、首都圏で家族の中に1人以上の障害や疾患持った世帯が、生活保護世帯は56%ありました。 通訳:56ですね。 青砥:これは学習支援教室の様子ですけれども、学生ボランティアが頑張っています。私たちは、さいたま市で学習支援教室を運営していますけども、11教室あります。中学生と高校生が450人、通っています。250人の学生たちがそれを支えます。子どもたちは全て無料です。こんな様子です。 私たちの支援のポイントは、どのくらいの、支援対象者をまずターゲティングすること。今、必要な子どもたちは、貧困率16%ですから、子どもの数でいうとざっと350万人。ですけども実際に今、支援の対象で、支援ができている数はたぶん20万人に満たないと思います。日本の貧困はほとんど放置されています。それはどういうことかというと、日本の貧困対策は貧困対策法と生活困窮者自立支援法という2つの法律しかありません。子どもの貧困対策法にはほとんど予算は付いていません。生活困窮者自立支援法の学習支援事業のみが、子どもの貧困対策の実質的な法律といっても過言ではありません。日本の子どもの貧困対策というのは、まだ緒に就いたとは言えないと思います。欧米と比べて非常に遅れてると思います。ありがとうございました。 司会:(英語)
豊島区での子どもの居場所づくりの活動について
栗林:こんにちは。私は東京都の豊島区というところで、子どもの居場所づくりをしています。子どもの居場所をつくることによって、地域で親だけではなく、地域が子どもを一緒に育てる、そういう活動をしています。ここは飛ばしますね、今、青砥さんが説明してくださいました。 私は教師でもなんでもない、地域の子育てをした母親の1人です。まちの中でおなかをすかせている子ども、きのうからご飯を食べていない、そんな子どもたちと今まで出会いました。高校にいけないかもしれないという子どもの学習のサポートをしました。その1人の彼、子どもから聞いたことは、勉強も分からないんだけれども、いつもお母さんからお金を、500円をもらって、それで1日の食費を賄っている。1人で好きな時間に好きなお弁当を買って食べる、こんな暮らしをしていた子でした。 地域の子どもがみんなでご飯を食べること、わいわい食べることって楽しいねということや、家族が、親が今、だんらんをつくることができないのなら、地域でだんらんをつくろう。そんな思いで、地域のみんなで子ども食堂という取り組みを始めました。ほかにも子どもの遊び場や勉強だけではなく、大学生のボランティアと遊んだり食べたりできる学習支援も始めました。 日本では子育て拠点の居場所づくりは国が進めてきています。そのような場が地域にあっても孤立しがちな親はそこに行けません。行きません。親が地域につながらなくても、子どもにつながることによって親の支援もできる。こんな効果が子ども食堂にはあります。 これは現場の様子です。ご飯を作るサポートは地域の主婦が担っています。就学前の子どもはお母さんと一緒にご飯を食べに来ます。お寺や教会をお借りして開かれた地域の子ども食堂をやっている。こんな現場もたくさんあります。一軒家を借りて中学生専門の子ども食堂。こんなスタイルもあります。 本来、お弁当を作ったり、お料理を教えるのは家庭かもしれませんが、地域がそれを担っています。子どもの貧困ということ、そういう問題を知った全国の主婦が、うちの町にも同じような取り組みを実現したいということで子ども食堂は、4年前、私たちは始めたんですが、今は全国に300カ所あるといわれています。子ども食堂につながった子どもはずっと地域の誰かが、ずっと伴走して、就労まで伴走できる。このつながりづくりの場所です。 食材を提供する方もいれば、手伝う人もいる。困っている子どもを連れて来る人もいる。こうして子ども食堂はまちづくり、地域のソフトインフラと今、なっています。このように地域の意識を変えることによって、子どもが変わります。その子どもが成長して未来を変えると信じて、この取り組みを進めております。以上です。 司会:ありがとうございました。(英語)