【“ママプロ”対談】有村智恵・甲田良美、出産・子育てを経て彼女たちが感じたことは?
若手の活躍が目立つ女子ゴルフ界。しかし、ベテランと言われるようになり各々人生の選択をして輝き続ける女子プロたちもいる。2024年8月13日号の「週刊ゴルフダイジェスト」では、そんな“ママプロ”である甲田良美と有村智恵に、対談形式でゴルフや人生の変化を聞いている。その一部をみんゴル読者にもお裾分け!
甲田良美
こうだよしみ・1983年栃木県出身。18歳でゴルフを始め、プロキャディなども経験し2009年プロ入り。翌年レギュラーツアー初優勝を挙げる。常に自身の夢を切り開いてきた。8歳と3歳の男児の“ベテラン”ママ。
有村智恵
ありむらちえ・1987年熊本県出身。10歳でゴルフを始め、2006年プロ入り。08年に初優勝後、勝利を重ねアメリカツアーにも挑戦。日本ツアー14勝のキュートなアスリート。4月に双子の男児を出産。3カ月の新米ママ。
――2人ともすっかり”ママ“の顔です。お子さんができて、生活は変わりましたか?
有村 私は妊娠がわかった瞬間から1回もクラブを握っていません。まずそこから生活がガラッと変わって。それまでは丸1日外に出て体を動かす生活だったから。特に双子だったので安定期に入るまで心配で、安定期に入っても発育がよくて早産の心配があり安静にしていました。本当に運動をしていなかったので今は体力が心配です。 甲田 男の子だから体力をつけないといけないと思って。2番目の子を37歳ギリギリで出産したので、この子が10歳のときに私は48歳だなあと。今も公園で鬼ごっこしてくれって言われるんですよ。私が一緒についていかないと、けんかなども心配で。 有村 私はテレビでニュースを見ていて、男性アスリートが活躍していたりすると、もし自分がこの子の母親だったらと感情移入するし(笑)。クラブはまだ握っていません。良美さんはじめ、先輩方が無理はしないほうがいいと言ってくださるんですけど、やっぱりクラブを握る前に体を整えないといけない。その段階を踏まないと今後に響きそうな気がして、今は体作りを始めた状態なんです。 甲田 結婚前に卵巣に問題がある、安静にするしかないと言われました。でも子どもが欲しかったから1年半くらいクラブを握らなかった。その後、無事出産しましたけど半年は無理でした。子どもを預ける環境がなかったし、体も全然戻らない。家ではミニクラブで素振りしたりはしていたんですけど。 有村 久しぶりにクラブを握ったときはどうでした? 甲田 恥ずかしいので練習場の一番右側の打席に行って打ったら、3球連続シャンクして(笑)。今日はやめて帰ろうかと思ったんですけど、やらないとダメだと思い直して、とりあえず1カゴだけ打って、明日も来ようって(笑)。 有村 本当に最初にシャンクしたんですか! 甲田 そう、アプローチで。どう振っていいのか、クラブを上げる感じがわからなくて。でもそのときすごくプラス思考だった。自分の嫌いな癖ってあるでしょう。それを直すチャンスだと。 有村 わかります。そういう欲求ってありますよね。 甲田 感覚がわからないから、1からできる、と。徹底的にやれば嫌なところが消えると思って。 有村 やっぱり根っこがゴルファーなんですね。実際どうでした? 甲田 たぶん、消えたと思う。 有村 それは希望があります。私の子はまだ首が据わっていないから、抱っこで上半身の力を使うんです。腹筋も戻ってないから猫背になる。今までゴルフで一番嫌いだった力の入り方をしているんです。でも、(先輩ママの)皆さん、腹筋と背筋が上手く使えるようになる、力が抜ける状態になると言います。どのタイミングで来るんだろう。 甲田 最初はアイアンが40ヤードくらい飛ばなくて。現役バリバリのときは、「どうやって飛ばそうか」と考えていたでしょう。それが飛ばなくなっているから、「どうしたら飛ぶんだろう」と考えるようになるんだと思います。