歴史的な衆院選 選挙戦から見えてきたもの
ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム「報道部畑中デスクの独り言」(第390回) 衆議院選挙が終わりました。結果は与党で過半数を下回る215議席という歴史的なものに。自民党は200の大台を割り込む191、公明党も伸び悩み、9月に就任したばかりの石井啓一代表が落選するという大誤算がありました。与党全体で減らした議席は73、その分を立憲民主党が50増やして148、国民民主党は4倍増の28議席を獲得し、公明党を上回りました。
今回の選挙とはこれまでと違う様々なものが見えてきました。小欄では大きく3つに分けて論じていきます。
◆自民党への「トドメ」となった「2000万円問題」
投開票日当日、ニッポン放送でも開票特別番組を放送。私は今回も自民党を担当しました。党本部9階に設けられた開票センター、厳しい結果に幹部の笑顔はなく、終始、重たい空気に包まれました。幹部席の後ろに設けられた候補者のボードのバラは空白が目立ち、特に北海道・東北、愛知、大阪は大苦戦が一目瞭然でした。バラをつけた石破茂総裁は憔悴しきった表情、多くのメディアに出演した小泉進次郎選挙対策委員長は、口を堅く結び、厳しい表情でバラつけの様子を見つめていました。どこか「抜け殻」のようにも見えました。 「政治とカネ」「経済政策」が焦点となった衆院選ですが、自民党にとって今回の戦略はことごとく「裏目」に出たと言わざるを得ません。
石破総裁が「日本を守る」と打ち出した選挙戦は「裏金事件」のおわびに追われました。「守る」というフレーズは「防戦一方」の選挙戦を象徴してしまったようです。また、「議論を行った上で解散すべき」と言っていた総裁就任前の発言を翻し、政権発足からわずか26日という史上最短での総選挙に踏み切りました。こうしたブレた姿勢が選挙に影響したことは否めません。 裏金事件の対応については公示直前、関係した議員46人のうち、12人が非公認、34人が重複立候補禁止という措置が取られました。公示前の勢力が256。仮に関係議員が落選したとしても公明党の議席を加えれば、何とか過半数に達するだろう……いわば「賭け」だったわけです。確かに、裏金事件に関係しない候補の陣営からは、有権者の反応が良くなったという声が複数聞かれ、一定の効果があったのは事実です。しかし、逆風を跳ね返すまでには至りませんでした。 何よりも、終盤になっていわゆる「2000万円問題」=非公認候補の総支部に2000万円が支給されていたという報道が「トドメ」となったようです。党側は「党勢拡大が目的であり、非公認候補はそのお金を使うことができない」と釈明、石破総裁が演説で色を成して反論する場面もありました。ただ、ある自民党候補の陣営からは「裏金が問題になっている時に、こんなもの配ってどうするんだ」とあきれる声も聞かれました。