人類が初めて「宇宙人」にメッセージを送ってから50年 何を伝え、何が起こったのか
新たなアレシボ・メッセージ
アレシボが初めて宇宙にメッセージを送信してからの50年間で、地球外生命体を探すための知識は大きく進展した。 天文学者たちは1992年に太陽系外惑星を初めて発見し、それ以来、5000以上の太陽系外惑星が見つかっている。岩石でできた水の豊富な惑星が数多く存在しているのだ。 プエルトリコ大学アレシボ校が公開している「ハビタブルワールドカタログ」によれば、そのうち最大29の惑星が恒星のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)に位置している可能性がある。ハビタブルゾーンとは、恒星の周囲で液体の水(と生命)が惑星の表面に存在しうる領域のことだ。 アレシボ天文台の研究者たちは2018年に、最新のメッセージを作成するためのコンテストを開催した。このコンテストでは、新世代の科学者たちが、地球外生命体に向けて人類を要約するという刺激的だが困難な課題に挑んだ。 プエルトリコ大学マヤグエス校の学部生チームがコンテストで優勝し、同じバイナリ形式と太陽系の類似した図を用いて新たなメッセージをつくった。「元のメッセージからインスピレーションを得ました」と、チームメンバーのケルビー・パレンシア・トーレス氏は言う。 元のメッセージを拡張するために、チームは天の川銀河の中で地球の位置を特定でき、土星の輪や月など、太陽系内のいくつかの興味深い天体を強調した地図も含めた(もちろん、冥王星を除外し、太陽系の図を更新した)。また、提案されたメッセージには、基本的な数学的演算子に加え、プランク定数や光速といった物理定数も含まれている。 元のメッセージにはDNAやアミノ酸に関する情報が含まれていたが、この重要な情報を敵対的かもしれない宇宙人に開示することには慎重になるべきだという意見もある。今回のメッセージは、人間に関する情報を最小限に留め、平均身長や世界人口を示す視覚的な表現のみを入れた。 「メッセージを(選ばれた)目的地に届けるだけでなく、十分に単純化し、私たちが望んでいることを正確に伝え、誤解を避ける方法を考えるのは非常に興味深い挑戦でした」と、チームメンバーのセサール・キニョネス・マルティネス氏は言う。 プエルトリコのポンセ出身のリスマリエ・マテオ・ロウベルト氏は、メッセージの送信先として「ティーガーデン星」を選んだ。太陽から12.5光年しか離れておらず、生命に適した2つの惑星を持つ可能性があるとても小さな古い恒星だ。「他の星系に比べると近いんです」とマテオ・ロウベルト氏は言う。もしそこにいる宇宙人がメッセージを解読し、迅速に返信した場合、私たちは25年待つだけだ。