変わる女子プロレス界の勢力図。選手の離脱、新団体旗揚げ... それでも業界トップのスターダムが以前と変わらず面白いワケ
岡田社長によると、リーグ戦の試合数が減ったことで開幕戦から最終戦まで全体のプランを練って試合に臨む選手が目立ったそうだ。どんな作戦で臨むか、どの技を軸にするかを考えやすいから試合の中身も濃くなる。 このリーグ戦だけでなく、今のスターダムは変化の真っ只中にある。この春は選手の離脱、マリーゴールド旗揚げという大きな話題があった。業界の勢力図が変わる中で、女子プロレス界トップのスターダムも現状維持ではいられない。5★STAR GPのシステム変更もその一つだ。 リーグ戦開始前には、上谷のヒール転向、スターライト・キッドの新たなユニットNEO GENESIS結成などユニット再編の動きも活発化した。大会スケジュールそのものも、選手にとって無理のないものになっている。 他団体との交流も「業界で一番“NG”がない」岡田社長のもとで活発化。上谷はWAVEのリーグ戦で優勝し、安納サオリはセンダイガールズのシングルベルトを巻いた。5★STAR GPにもセンダイガールズの愛海、JTOの稲葉ともかが参戦している。この“全方位外交”によってフレッシュなカードが実現するだけでなく、若手が経験を積む機会も増えている。 団体上位陣の白川未奈、若手のHANAKOはリーグ戦じたいにエントリーしなかった。その期間を海外遠征にあてたのだ。白川はデビュー当時から海外志向が強かった。身長181cmの大型レスラーであるHANAKOも、海外での経験で身につくものは多いはず。 この夏はこれだけのことが同時進行していたわけだ。多岐にわたる動きは、選手層が厚いからできることだろう。業界トップであるためには動き続け、変わり続けなくてはいけない。と同時に業界トップの選手層だからできる動きもある。 スターダムが以前と変わらず面白いように見えるのは、絶え間なく変化を求めているからなのだ。 取材・文●橋本宗洋