電気アクセサリー取り付けの必須作業。配線分岐のスマートテクニック
愛車にUSB電源やフォグランプなどのアクセサリーを追加する際、バッテリーターミナルに直結する以外は純正の電気配線を分岐して電源を確保するのが一般的です。手段はいくつかありますが、なるべく簡素かつスマートで、必要十分な機能を持たせたいものです。ここでは、ある程度の工具とテクニックを要しますが後付け感が少なく、組み付け後にも着脱が可能な分岐方法を紹介します。 【画像】詳しい作業工程をギャラリーで見る(10枚) 文/Webikeプラス 栗田晃
簡単なのはエレクトロタップだけど……
電気系アクセサリー取り付け時の配線分岐方法としてもっとも簡単なのは、エレクトロタップを使った分岐です。金具部分に配線をセットしてプライヤーで掴むだけで、配線の被覆をカットして芯線に食い込んで導通するため、被覆剥がしやはんだ付け、絶縁用のビニールテープも不要です。 ただ、エレクトロタップはそれ自体がけっこうかさばり、ヘッドライトケース内で分岐させるような場合は邪魔になることもあります。また、分岐が複数になりエレクトロタップがいくつか並ぶと、あまり見栄えが良くないという問題もあります。 分岐部分をスリムに仕上げるには、スプライスを使用するのが有効です。スプライスについては過去の記事で紹介していますが、ギボシ端子のカシメ部分に似たU字状の金具で配線の芯線をかしめて使用します。これならエレクトロタップより格段にコンパクトに分岐できます。ただし被覆を剥がす作業や金具をかしめるための電工ペンチが必要になります。またスプライスは金属素材が露出するので、ビニールテープや熱収縮チューブを使った絶縁作業も不可欠です。 電源の分岐を前提とすると、エレクトロタップもスプライスも恒久的な分岐となり抜き差しできない点には注意が必要です。分岐した配線がそのままスイッチやアクセサリーまで一直線につながるのが都合が悪い場合、配線の途中にギボシ端子を取り付けます。
サブハーネスを自作すれば純正配線のギボシ部分から分岐できる
既存配線の途中から分岐線を取り出したい場合、エレクトロタップを使うのが最も簡単です。また被覆を部分的に剥がすことができ、電工ペンチを持っているならスプライスで分岐するのがスマートです。 これらに対して、既存配線の途中にあるギボシ端子接続部分から分岐する方法もあります。この場合、電工ペンチとギボシ端子が必要ですが、必要に応じてスマートに分岐できるのが特長で、分岐のための新規配線をサブハーネスと呼ぶ場合もあります。 サブハーネスはそれ自体をあらかじめY字状の二股にしておき、一方を車体配線のギボシを外して割り込ませて、もう一方からアクセサリーの電源を取り出します。USB電源の取り付けであれば、イグニッションキーONで通電するアクセサリー回路のプラス側のギボシ端子を抜いて、サブハーネスを割り込ませるイメージです。 先に説明したように、エレクトロタップやスプライスで配線を分岐しても、分岐した先のにギボシ端子を付けないとスイッチやアクセサリーまで配線は一本道になってしまいます。Y字状に分岐するサブハーネスはそもそも配線端部をギボシ端子でまとめるのが一般的なので、サブハーネスとアクセサリーの配線は任意に抜き差しできます。またサブハーネス自体がギボシ端子による接続なので、不要になればいつでも取り外してノーマル仕様に戻すこともできます。 ちなみに、市販の電気系アクセサリーの中にもエレクトロタップとサブハーネスが付属する製品もあります。デイトナが販売しているUSB電源の場合、ブレーキスイッチから分岐するサブハーネスが付属しています。前後のブレーキスイッチは単純なオン/オフスイッチで、イグニッションキーをオンにするとスイッチ部分にまでプラス電流が流れ、ブレーキレバーやブレーキペダルを操作するとスイッチ接点が閉じてブレーキランプに電流が流れて点灯します。 この場合、サブハーネスを接続するのはスイッチに入力する配線側になります。スイッチ後に割り込ませると、ブレーキを操作している=ブレーキランプが点灯する時しか電気が流れないので注意が必要です。