発達障害の子の希望「麻布中学へ行きたい」を叶えたい 父・赤平大さんが提案したたったひとつの作戦
ギフテッド2Eだから?
年が明けて1月に入ってから、麻布の過去問をやってみることにしました。数年分の過去問に取り組み、採点結果をグラフ化してみると、得点がどんどん伸びていくのがはっきりとわかりました。過去問には、各年度の科目ごとの合格最高点と最低点が記載されています。 それと比較すると、息子の得点が合格最低点を上回るようになったんです。鬼門だった記述問題も、徐々に書けるようになっていました。記述特化が上手くいっているように感じました。「これは、本当に受かるかもしれない……」嬉しさと同時に、"不安"な気持ちになったことを覚えています。 そして、その不安は現実になりました。この本は私と息子の「トライ&エラーの記録」こうして書くと、「受験勉強たった2か月で合格した」という部分だけがフォーカスされてしまうかもしれません。実際、息子の中学受験の件でいくつかのメディアから取材を受けたのですが、記事になるとやはり、「発達障害を持ちながら麻布に合格」「しかも塾にも行かず準備期間2か月で」という部分だけがどうしても前に出てしまいます。 また、この麻布受験についての私のインタビュー記事を読んだ方からは、こんな声もありました。「ギフテッドだから、麻布に受かったんでしょ」高IQ、2Eとして能力があったからということは、結果に作用したでしょう。息子の特性が、たまたま「麻布の中学受験と相性が良かった」ことも間違いありません。 でも、高IQだから勉強ができるわけでは決してありません。こうした誤解や偏見が、多くの当事者や家族を苦しめていることもまた事実です。麻布を受験すると決めたのは、たしかに2か月前でしたし、塾にも通っていなかったことは本当ですが、「それまでまったく勉強していなかった」ということではありません。息子は小学生になった頃から、毎日少しずつ家庭学習を続けてきました。でも、ADHDの特性で、息子の集中力は30分ももちません。 「どうやったら、息子が勉強を続けられるか?」登校前の朝の短い時間や"スキマ"時間を使ったりしながら、細切れに勉強することを息子に提案し、時間をかけて習慣にしました。 やはり、何もせず、勝手に勉強ができたということではないのです。勉強だけではありません。運動や日常生活のあらゆることを、「何を、どうしたら、息子が成長できるだろう?」とトライ&エラーを重ねてきました。
赤平大