発達障害の子の希望「麻布中学へ行きたい」を叶えたい 父・赤平大さんが提案したたったひとつの作戦
「"山川の日本史"を徹底的に要約する」が麻布中学合格へのたったひとつの戦略だった
「このままだと、きみは麻布には絶対に受からない」「勝つための戦略なんだけれど…お父さんと"ギャンブル"してみないか?」私の言葉に、息子は少しも迷いませんでした。 「うん、やってみる」記述力を上げるために使用した教材は2つ。1つ目は山川出版社発行の『詳説・日本史』です。通称"山川の日本史"と呼ばれる教科書ですが、この"山川の日本史"を「ただひたすら要約」する。それが私の選んだ作戦でした。「80ページの内容を、この3つの言葉を使って80字に要約しなさい。制限時間は3分」 「155ページから158ページまでを、この5つの言葉を使って300字で要約しなさい。制限時間は5分」このように、ある範囲の中でキーワードを抜き出し問題文を作成します。制限時間も文字数も適当に決めます。 この作戦の目的は、とにかく「情報を整理し書き出す」ということ。高いワーキングメモリの影響で頭の中に大量にインプットされた情報を、苦手な情報処理力で整理し、書く。 解答は正解でも不正解でも、文章としてまとまっていなくてもOK。とにかく「時間内に、書かれている情報の整理をして文字数内に書く」ということだけに特化して、1つでも多く数をこなすことを優先しました。残された時間がない中で"質より量"という選択しかなかったのです。 過去問も"丸付け"はせず「とにかく量を」2か月間で記述力を上げるために使用した2つ目の教材は、「過去問」です。中学受験界で"銀本"と呼ばれている過去問題集があります。 大学受験の時に使う過去問集を"赤本"と言いますがその中学受験版で、公立中高一貫校向けのものや私立中高一貫校共学校向けのもの、男子校向けのものなど色々あります。その銀本のうち、「国語の"記述問題"だけをひたすら解く」ようにしました。漢字読み書き問題や抜き書き問題、選択問題には一切手を付けず、とにかく記述問題だけ。 さらに、「わからなかったら、答えを見ながら書いてもいいよ」と息子には伝えました。書くことへのアレルギーを減らし、書き慣れるためには「答え丸写し」でも良いという判断です。書きっぱなしやりっぱなしで次の問題、また次の問題……と取り組んでいきました。ここでも私が"丸付け"はしません。採点をしたり確認作業をしてしまうと、その分だけ時間が失われてしまいます。