腰椎椎間板ヘルニアを放置するとどうなる? 排尿・排便障害にならないためには
腰椎椎間板ヘルニアの症状といえば、腰痛が真っ先に思い浮かぶと思いますが、そのほかの症状やそのメカニズムについてご存知ですか? 腰椎椎間板ヘルニアになりやすい人はどんな人でしょうか? 【イラスト解説】スラムダンク・桜木の怪我も腰椎!? 整形外科医の分析 そこで「腰椎椎間板ヘルニア」の初期症状やなりやすい人の特徴、新しい治療法などについて、整形外科医の石井 賢先生(New Spine クリニック東京総院長)に解説してもらいました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
「腰椎椎間板ヘルニア」とは? 整形外科医が解説
編集部: 「腰椎椎間板ヘルニア」について教えてください。 石井先生: 腰椎は、5個の椎骨とその間にあるクッション(椎間板)で形成されています。椎間板の中心部には水分が豊富な髄核が存在し、周囲を強固な線維輪が覆っていますが、年齢と共に髄核の水分が少なくなり、線維輪にも裂け目ができてきて、椎間板は徐々に劣化します。 腰椎の髄核の部分が線維輪の裂け目から押し出され、脊髄や神経根を圧迫してしまう状態を「腰椎椎間板ヘルニア」と呼びます。 編集部: 加齢に伴い起こるのですか? 石井先生: そうとも限りません。先ほど「年齢と共に」と言いましたが、実際には外からの強い衝撃や長期間の負荷、不良姿勢などによって椎間板ヘルニアとなってしまうことも多くあります。 編集部: どんな人に多いのですか? 石井先生: 高齢の方にも見られますが、統計的には20~40歳代によくみられ、男女の発生比率は約2:1と、男性に多い疾患です。さらに、近年では遺伝的要因も解明されつつあり、生活習慣では喫煙も椎間板変性をもたらすことが証明されています。
腰椎椎間板ヘルニアの症状とは? どのようにして起こる?
編集部: 腰椎椎間板ヘルニアはどんな症状が出るのですか? 石井先生: 主な症状としては、腰痛、臀部から足先までの痛みやしびれ(坐骨神経痛)、感覚障害、筋力低下などが起こります。また、腰痛を伴わないケースもあります。 編集部: 症状が進行するとどうなりますか? 石井先生: 進行すると強い痛みが出たり、足に力が入らなくなったりすることで、歩くことが困難になる場合もあります。また、ヘルニアの大きさや部位によっては、排尿や排便障害になることもあります。 編集部: 腰の疾患なのに、どうして足の症状や排尿障害などが表れるのですか? 石井先生: 腰椎の椎間板のすぐ後ろに、足の感覚神経や運動神経、排尿などにたずさわる神経が通っているからです。押し出された髄核が、それらの神経を圧迫してしまうことが多いので、これらの症状が出るのです。 編集部: ヘルニアなのに腰の痛みがなく、足だけが痛いという場合もあるのですね。 石井先生: そうですね。もちろん、足が痛いからといって腰椎椎間板ヘルニアとは限りません。「しばらく歩いていると足の痛みで歩けなくなるが、座って休むと治る」といった場合などは腰部脊柱管狭窄症の可能性もあります。