PGAツアー選手が「10.5度」ドライバーを使う時代。アマチュアは11~12度のハイロフトが良い!? 識者に聞いてみた
近年、高初速や圧倒的飛距離を謳うメーカーが多いが、実感できない人も多いはず。その原因がスウィングにあると思う前にロフトに注目してみてはいかがだろう? 2024年3月21日発売の『月刊ゴルフダイジェスト』2024年5月号に掲載された内容の一部をみんゴルで紹介!
【ハイロフト分析①/米ツアーでのトレンド】PGA選手で“さえ”10.5度を愛用。ではアマチュアは?
米ツアーの選手が使っているドライバーのロフトをリサーチすると、思いのほか10.5度が多かった。世界トップの技術とパワーを誇る彼らが二桁のロフトなのに、ボクらアマチュアも同じロフト帯でいいのだろうか? 数多くのツアープロやアマチュアを指導して、クラブ選びのアドバイスも行うプロコーチの奥嶋氏はこう話す。 「米ツアーの選手もアマチュアもドライバーの入射角はレベルかちょいアッパーで、実はほとんど同じです。その点では、トッププロだけ〝特別〞ではありません。けれど、彼らに比べてヘッドスピードが遅く、ヘッドの大型化によってフェースを戻し切れないアマチュアが多い。なので米ツアー選手よりもハイロフトを使い、球の高さとつかまりを補ってあげる必要があるんです」 また、奥嶋コーチになぜ10.5度を使用するプロが増えているのか聞くと、「ドライバーでもハンドファーストでロフトを立ててインパクトを迎えるプレーヤーが増えているからです。そうするとロフトがついているほうが打ち出しの高さを適正にできて“飛ぶ弾道”になるのです」という。
写真A上のようにヘッドの入り方がレベル~ややアッパー気味であることは、米ツアーの選手も我々アマチュアもそれほど変わらないという。しかし、写真A下のようにアマチュアはフェースが開いて当たりやすく、その結果球が曲がるだけでなくスピンも増えてしまい、効率の良いインパクトにならないと奥嶋プロコーチ。
【ハイロフト分析②/クラブ計測】ロフトで打球を上げて、重心でスピンを抑える
分析①でPGAツアー選手がハイロフトを使用する理由はわかった。とはいえ、我々アマチュアはロフトが寝ると球は上がるけど、スピンが増えそう……。低スピンじゃないと飛ばないでしょ? と思っている読者も多いだろう。そこで計測のスペシャリストであるクラブデザイナーの松尾好員さんにいまのハイロフトヘッドを分析してもらった。 前段のようにドライバーをハイロフトにすると、スピン過多で吹き上がって飛距離をロスしそう。そう思い込んでいる人は、頭の中をアップデートしよう。最新モデルのハイロフトは、そんなリスクもちゃんとケアしている。クラブデザイナーの松尾氏は『TSR2』のロフト10度と11度のヘッドを実測して、こう分析した。 「おそらく意図的に、11度は10度に比べて重心深度を浅く設定しています。それにより、スイートスポット(フェース面上の重心位置、以下SS)高さが上がり過ぎないようにしてるので、11度でもスピンはさほど増えません」 ヘッドの設計上、重心が浅くなれば自ずとSSは低くなって、スピンが減りやすい。ハイロフトでもスピンをセーブしたということだ。さらにもう一つ違いがあった。 「11度は重心距離が短くネック軸回り慣性モーメントも小さいので、ヘッドをターンしやすくて球をつかまえやすいんです」 球が高くてもスピンは増えないし、つかまる。設計上の観点からも、ハイロフトのアドバンテージは証明された。