ホンダ社長が語る「2040年脱エンジン」の行程表、「ならでは」の魅力的なBEVを実現できるか
1980年代に一世を風靡したライトウェイトスポーツ「CR-X」のようなBEV。想像しただけで期待が高まる。バッテリー搭載量を減らして、車重を軽くしたいという三部社長のBEVに対する考えが、ストレートに反映されたクルマ。ホンダらしさがにじみ出る存在になりそうだ。 ■スポーツカーはアキュラ? 「サスペンションもブレーキも、昔はハードで一生懸命すり合わせて作ってきた物がみんな電気で動かせるようになりました。そのすべてをコントロールする上では、ユニットごとの制御ではなく統合制御になります。そうしてクルマが知能を持って、どういう走行状態を作るのかで他社と差別化できます。できるんですが、走りの次元がものすごく上がっていて、今スポーツカーを一生懸命開発していますけども、加速は気を失いそうだしコーナーもタイヤの限界まで曲がれちゃう。これを一般のクルマでどこまでやるのか……。まだ見えてないんですが、こうした部分はホンダではなく、アキュラでこだわってやるのかなと思っています」(三部)
ただし、その前段階としてHEVが非常に重要な存在になる。今回の発表には、2モーターハイブリッドシステムであるe:HEVの軽量・高効率化、後輪を電気モーターで駆動するE-AWDの採用などが謳われた。 「JAPAN MOBILITY SHOW 2023でお見せしたプレリュード。あれはいいですよ。それも含めて2026年頃には、日本市場にBEVもe:HEVも面白いクルマが出てくると思います」(青山) HEVは強化していくが、PHEVは計画にはないという。中国で販売台数が伸びていることを考えると、意外な感もあるが……。
「やはりエンジンのシステムとBEVのシステムを1台の中で持つのは賢くないなというのがあって、技術的な素性としては僕はあんまり好きじゃないっていう感じです」(三部) 「(PHEVの)販売が伸びているのはBYDだけですよ」(青山) e:HEVについては更にアップデートが予定されているが、進化するのは主に電動システムの部分。内燃エンジンの新規開発は考えていないという。 「ホントは色々やりたいのは山々ですけど、内燃エンジンにこれから生産投資しても、何年使えるのか。2035年って実はもうそんな先じゃなく、あと10年しかない。そこは莫大な投資をするのは経営者としては躊躇します。e:HEVはちゃんと正常進化させるので、それで勝負できればなというのが本音です」(三部)