ホンダ社長が語る「2040年脱エンジン」の行程表、「ならでは」の魅力的なBEVを実現できるか
■10年間で10兆円を投資 ただし、それを実現するための投資額も半端じゃない大きさになる。2021年度を起点とした2030年度までの10年間に於けるソフトウェア、バッテリー、モノづくり各領域への投資額は実に10兆円に及ぶ。 「とてつもない数字で、言うのは結構勇気が要ったんですよ(笑)。でも、やらなきゃどうなるのかと言えば、やはり会社が潰れるって思っているので、決して無謀ではない。もちろん、議論もあったし色々なご意見はあるんだけども、われわれとしては前に進もうと決めたので、そこを明確に発表したということです」(三部)
そのためのキャッシュを創出するのは現時点では内燃エンジン車とHEVであり、実はその体質強化も2030年に向けた大きなテーマとなる。2030年、あるいはそれ以降に向けたホンダの4輪ラインナップの目論見、そして内燃エンジンの今後についても見てみよう。 ホンダが近い将来に見据えているBEVラインナップは、実はCESで発表されたゼロシリーズだけに留まらない。ゼロシリーズ以外にもBEVが投入される予定だし、中国ではすでに別のラインナップ展開が進んでいる。アメリカにはアキュラがあり、また日本の事情もそれらとは当然違っている。
そして、もちろん急激にBEVだけに変わっていくわけではない。HEVに力が入れられていくことはすでに公言されているし、内燃エンジン車も当面なくならないだろう。いや、それどころかBEVシフトへの原資を稼ぐのは、まさにHEVの拡販だとされているのだ。 そもそもクルマにとってパワートレインは重要だがすべてではない。この先、ホンダはどのような価値をもったクルマを提供していくのか。 「本来はどういう商品を作るのかということを、われわれとしては一番に言うべきことだと認識はしているものの、どうしても財務はどうするのかという話がないとご納得いただけなくて。ですが、ゼロシリーズについては、われわれの狙う方向性は多少はご理解いただけたかなと思います」(三部)