ホンダ社長が語る「2040年脱エンジン」の行程表、「ならでは」の魅力的なBEVを実現できるか
市場としてもっとも重要な北米については、ホンダだけでなくアキュラもある。高価格車寄りにならざるを得ないBEVに関しては、プレミアムブランドのこのアキュラが、少なくとも当面は非常に重要な存在になる。 「まずはゼロシリーズが固まったので先に発表したわけですが、アキュラの戦略も今後明らかにしていきます。ゼロシリーズよりアキュラの方が(発売は)少し手前かなという感じですね」(青山) 詳細は8月のモントレー・カー・ウィークで明らかになりそうだ。
■今後のBEV投入スケジュール ゼロシリーズについては、2026年の北米を皮切りに、2030年までにグローバルで7車種が投入されることが発表されている。予定では、2026年にはまずフラッグシップ的なSALOONと、中型と小型のSUVが、2027年には3列大型SUVが投入される。 中国市場では2023年までに、「e:NS1」「e:NP1」といったBEV専用車が投入されている。2024年には3車種、そして2027年までに10モデルが投入されるという。そして2035年には全モデルがBEV化される予定だ。ちなみに中国生産のe:NS1は現在、ヨーロッパにも輸出されている。
そして日本は、先日まず軽商用BEVの「N-VAN e:」が登場。2025年以降には軽乗用BEV、小型BEVも発売される予定。また、交換式バッテリーのHonda Mobile Power Pack e:を搭載するマイクロモビリティ、そしてバンも計画されている。これらはラストワンマイルの移動、小規模ビジネスの現場での活躍が期待される。 「スポーツ的なところもきちんとやろうと思っていますよ。当然バッテリーEVで。2026年の初めあたりに出る小さなやつは、いいですよ」(青山)
これは上記の小型乗用BEVのことだろう。BEVの走りの楽しさというと、電気モーターならではの制御の緻密さを活かしたものも考えられるが、これは昔ながらのクルマとの一体感を重視しているという。 こんなヒントもあった。 「BEVでも昔のCR-Xみたいな軽快な感覚のもので、かと言って航続距離は200kmしかありませんというのではなく、500km走れるようなのが作れたら、特徴が出せるし、一群の中で違う戦い方ができるんじゃないかと思うんです」(三部)