タッチパネルを導入しないキッチンABC 3代目が大切にする“昭和感”
広がった客層 売上は1.5倍
設置場所にもこだわりました。店に行きたくても時間や仕事の関係から行くことが難しい。そのような客のことを考え、住宅街エリアの最寄り駅の構内や、公園などに設置。現在では企業の福利厚生として、タクシー会社などにも導入が進んでいます。 オンラインも含めると、冷凍事業の売上は全体の1割までとなりました。 店舗に来る客層も、変化しました。以前は男性の1人客が多かったそうですが、女性の一人客や子どもも含めた家族連れが増えたからです。 「はっきりとした原因は分かりません」と稲田さんは言いますが、ホームページのほか、InstagramやXなどSNSで情報発信にも注力したことが理由であることが考えられます。 客数の増加もあり、売上は以前と比べると約1.5倍に伸びました。しかし、あくまで飲食店の本質は現場であり、そこにこだわり続けることに重きを置いていきたい、と稲田さんはブレません。 「訪れたら笑顔になる場所。その本質を、変える気持ちはありません。突飛なことはせず、長年慕われてきた店の雰囲気や味を、これからもスタッフと一緒になって継続していきます」
杉山忠義