不貞の「相手方」への慰謝料請求「唯一の法的制裁」「慰謝料の対象とすべきでない」〈弁護士アンケート・全コメント紹介〉
●今回のテーマに関する自由回答
最後に、今回のアンケートテーマに関して、任意で回答を求めた。フリーコメントを全て紹介する。 ・原則、不貞の相手方に対する請求は認めない方向に舵を切っても仕方ないのではないかと思う ・積極的に働きかけたのでない限り、ゼロか低額にすべきではないか ・「現状」の詳細を知らないため、意見を言える立場にはありませんが、一般的には不貞相手への損害賠償請求よりも、配偶者への損害賠償をより確実に受けうる環境を整えるべきではないかと考えています ・理論的には不貞相手に対する請求は認めるべきではないと思うが、実際には、当事者にとって必要な請求のようであるので、現状のままで仕方がないと思う ・不貞をしたパートナーが、不貞の相手方に対し独身であると偽って関係を持った場合など、事案に応じて相手方に対しても慰謝料請求が認められるか判断すべき ・この問題はとても難しい。総合的な解決は永久的に無理だと思う ・本来的に法的な解決が難しい分野である ・現状は立証が厳しいと思う ・現状のままでよい ・賠償金額はもう少し増えてもいいと思う ・金額を高くすべき ・理論上はともかく、現状のままのほうが、否定される事態と比べて事案としては穏当に着地するのではないかと思います ・不貞の慰謝料額の相場が低すぎる ・配偶者と不貞行為の相手方との連帯責任とするのをやめるべき ・現状のまま以外の良案がない ・平成31年の最高裁判例から、低額化する傾向がある。300万円は行き過ぎと思うが、さすがに今の150万円程度の相場は安すぎると思う ・慰謝料額についての裁判所の認定額が低すぎるので、慰謝料額についてもっと高く認定するように変更すべき ・離婚問題を数多く扱っているわけではなく、現状に問題を感じていないため、現状のままでよいと考える ・不貞慰謝料の相場は、10年前に比べて50万円ほど下がっているように思う。交通事故では入通院慰謝料は上がる傾向だし、養育費も上がったのに、不貞慰謝料のみ下落傾向なのは、不貞による信頼関係の破壊が純粋な気持ちの問題に過ぎないとはいえ、モラルハザードを引き起こしかねない点で憂慮すべき事態だと考えている。 ・現実的には不貞相手の資力によるところが大きい ・恋愛は自由として、相手方の請求は否定。配偶者には財産分与で慰謝料要素を考慮。分与がない場合には固有の慰謝料を認める ・変更すべき。債権侵害は認めるべきではない ・男女の関係も多様化しており、不貞という概念自体賀時代にあわないので貞操権侵害は夫婦関係関係を破壊する意図をもってなされた場合のみ違法とするなどの法改正をすべき ・認めなくてもよいと思う。その代わり財産分与に扶養的な要素を入れたら良い ・相手方への請求権は基本的に認めないということでよいのでは。認めるとしても金額が高すぎ ・特に意見なし。あくまでも裁判例の動向に従うのみである ・あくまで夫婦間の慰謝料のみに限る形で判例変更が必要と感じています ・倫理の問題なので法的な賠償は認めないでよい ・婚姻関係が破綻した場合の一方配偶者に対する請求のみを認容すべき ・破綻主義を徹底すれば一般の不法行為は弁護士として離婚慰謝料はなくなるはず ・不貞の相手方が、単に性関係を結んだだけの場合は、配偶者にとっては「不貞行為」であるが、相手方にとっては「不貞行為」ではないと捉える。但し、婚姻関係の破綻に向けて性関係以外に何か言動があった場合であれば、その行為を婚姻関係の破綻に向けられた不法行為と捉えるのは如何だろうか ・夫婦間のみ請求できると判例変更すべき ・原則相手方には請求できない(よほど悪質、真偽に反する場合を除き)ということで良いと思う ・今よりも高額にして、不貞自体に否定的な社会とするか、あるいは不貞をした配偶者の離婚慰謝料のみにするか ・特にない。現在、慰謝料で解決できていない問題は今後も慰謝料では解決にならない ・配偶者に対する債務不履行という構成に変更すべき ・一日も早く最高裁で判例変更されるべき ・不貞相手への不貞慰謝料請求が原則として法的に成立するという実務は少なくとも不貞の関係者(最低でも3名)にも弁護士を除いた他の人々(国民)にとっても良いことはなく、コストの無駄遣いだと考えている。理論的にも問題多いのこの実務慣行は不貞相手への離婚慰謝料を否定した2019年最判が出たからには早急に無くなるべきである ・離婚事案以外断っている ・不貞慰謝料を認めないとの判例変更が必要。そのためには社会の意識が変わる必要がある ・配偶者に対する慰謝料請求はともかく、不貞の相手方に対する慰謝料請求は認めるべきではない。理由は、不貞の相手方に対する慰謝料請求を認めたところで夫婦間の愛情関係がより良く保たれるわけではないからである ・不貞関係は、婚姻当事者の問題に過ぎないのであり、第三者の責任は本来認めるべきではない。直ちに無くすことが難しいとしても、金額としては制限されるべきである ・もともと恋愛は自由競争であるから、不貞については受忍限度ともみられる。離婚も単意離婚を認める法制度もあるくらいであるから、愛情がなくなれば法的に保護すべき理由はない。不貞慰謝料は認めるべきではないと考える ・くだらないので辞めた方が良い ・アメリカ人から準拠法を日本にして不貞の慰謝料請求をしたいと言われたとき、我が国の精神的成熟度を疑問に感じた。シンガポールからの相談も同じだった。シンガポールは、日本人同士だが、相談者も英米法では廃止されていることを理解しており、一定の層には英米法の理念は伝わっていると思う ・そもそも貞操は法的に義務付けられるものなのか、疑問。離婚に至った場合でも至らない場合でも他方配偶者の慰謝料を不貞配偶者に求めれば足りると考える 不倫で大騒ぎする昨今の社会が気持ち悪い。人を好きになるという根源的欲求を婚姻で縛ることの正当性を考えてみてもいいと思う ・離婚に至った場合のダメージは大きいので、その場合の慰謝料の相場がもう少し高額になると良いと思う ・個人的にはこういう事件は扱いたくないが、日本文化や世論には馴染んだ考え方だと思う ・相場が抑えられており、精神的苦痛を慰謝するに足りているとは到底思われない ・一夫一妻制という前提がある以上、不貞が同制度からして認められないもので、これについて法的な制裁が生じるという現状のルールは、議論の余地はあるにせよやむを得ないところかと思います ・離婚をされた妻が経済的に困難な状況となる現状では認めるべき。離婚後、養育費を踏み倒す男性も多く、シングルマザーの経済状況は厳しい。社会状況が変化して女性の所得が向上すれば不要としてもいい ・金額をあげるべきです。男女平等に姦通罪も制定すべきと考えます ・共同不法行為の加害者として当然請求できるから ・より高額な慰謝料が認められるべき ・少なくとも、子への手当はもっと厚くするべき(現在は子の慰謝料など認められていないが) ・そのままでよい ・特にない ・費用対効果が悪い ・妻が離婚をしても経済的に困らない社会であれば、不貞の慰謝料請求を認める必要はないし、認めるべきでもない。しかし、現在の日本社会では、離婚をしたくても経済的な理由で離婚に踏み切れない妻が多い。婚姻関係の継続を希望する妻が夫の不貞行為の相手方を追い払うための方法としては慰謝料請求をする以外に良い方法がないことがある。そのため、不貞の慰謝料請求を一律に否定することはできない ・家庭が壊れる甚大な被害が生じるのだから賠償額の低額化傾向を是正すべき ・慰謝料の相場額を上げないと、探偵の調査費用で赤字になり、被害者側が泣き寝入りしかねない ・法的には今のままでいい。離婚が容易になるわけで、諸外国と違ってそこで離婚を選ばない方がおかしい ・法的根拠としては現状のままで、裁判所が認定する慰謝料額を上げて欲しい ・裁判所では、浮気をされた配偶者が、恋愛の自由市場で負けたので、慰謝料額を減額する方向にあるようだが、名目的な慰謝料として、最低100万円くらいは認められるべきだと思う ・全体的に慰謝料の相場が安い、特に資産家の場合は、慰謝料の存在が歯止めになっていないように思う ・現状のままでよいと思いますが、金額はもっと上がるべきだと思います。近年、テレビドラマでも普通に不倫が行われたりしており、不倫がよしとされる傾向もある気がします。しかし、不倫は家庭を崩壊させる非常に悪質な行為です ・不貞行為に対する社会的な批判が強い現状からして、慰謝料請求できないとする考えは社会的な理解を得られないのではないか。慰謝料額も、これだけ不倫が叩かれる世の中なのであるから、もっと増額して行くことが相当と思われる ・慰謝料額は増やすべき ・婚姻関係が破綻ないし甚大な影響を受けると人生設計からやり直さなければならないことがあります。それに比して慰謝料は安過ぎ、むしろ増額すべきと考えます ・より高額な慰謝料が認められるべき。そもそも、慰謝料請求が認められる場合、集めにくい不貞の証拠をわざわざ集めている。そうであるのに、認められる金額が少なすぎる。証拠収集に要した費用を下回る慰謝料となることも多い ・現状のままで良い ・慰謝料相場の見直し(上方修正) ・不貞の慰謝料を現状のままにすべきか変更すべきかという質問に対する明確な意見を持つことは難しく変更される余地があるのは認めることの可否とその金額くらいではないかと思うしそうであれば原状であっても結局は事案によるので現状のままで良いということになるのであろうか ・特に変更すべき点はない ・不貞相手に対する慰謝料が年々と低くなっている。裁判官によっては未成年の子どもあり離婚有で100万円もあった(この事例では、その後元配偶者が不貞相手と婚姻し子どもが生まれて養育費減額請求があって散々であった。)。もっと高額にしてほしい ・現状のままで良いと思います ・現状のままで良い ・現状でよいと思います。ただ、離婚した、しないで金額相場を分ける合理性はないと思います ・金額をもう少し上げてもらったほうがよいというか、相手に対する制裁的意味合いをもう少し含めたほうが良いと思う ・離婚に至った場合に限定すべき ・裁判で認められる金額が安い傾向がある ・慰謝料は高額化すべき ・慰謝料の金額を増額するべき ・慰謝料相場は事情によって高額化させてよい ・米国のように、自由恋愛だと割り切ることはできない。夫婦や家庭を破壊させる行為であるという倫理観が日本ではまだ強いと思う ・そのままでよい ・不貞行為をした配偶者が婚費請求をしても、権利濫用として養育費相当額に減額されることがあります。本来、婚姻費用の請求が権利濫用とされるのがおかしいと思いますが、婚費が減額されるなら、通常通りの慰謝料とすれば、婚費請求者と婚費支払い義務者で経済的な損害の額が違ってくる。従って、不貞行為をした者が婚姻費用請求した場合に、不貞行為を理由に減額された場合には、慰謝料額は通常より減額すべきと考える ・現状のままでもよい ・悪質な1~2回の不貞と多数回の不貞(特に不貞相手と同棲しているような事案)で、慰謝料の差が小さ過ぎると感じる。後者は前者と比べて家庭の平穏を破壊する程度が明らかに大きいのであり、家庭という唯一無二のものを破壊する行為であることからすれば、現在の相場の倍以上の慰謝料が認められてもおかしいとは思わない。慰謝料の相場に関しては、総じて低いと仰る依頼人が多い ・慰謝料額の相場が低いように感じる ・相手方の責任をゼロにすべきではないが、配偶者に比して、限定的にすべき(単に求償や負担割合の問題でなく) ・慰謝料額が低い。配偶者の責任の方が重いことを明確にするべき ・相場安すぎる ・この点については特に意見はありません ・相手方への請求は、配偶者と離婚した後に制限するという方法はあってもいい ・大幅に認容額を増額すべきである ・不貞の相手方への損害賠償請求も認めるべきだが、配偶者に対する責任の違いに鑑み、相対的に不貞配偶者よりは、かなり低い金額に留めるべきであるように思う ・同類型については、付加金のように最大3~4倍程度の懲罰的な賠償を認めるべきではないか。嘘をついたもの勝ちになってしまっている状況を変える必要がある ・慰謝料の金額はある程度統一した方が良い ・当面は現状のままでいいと思います。不貞相手方のみへの請求の場合に、不貞配偶者を尋問する必要があるかどうかの運用が気になります。訴訟当事者で無いので不要とする裁判官もいれば、一番事情が分かっている者なので当事者でなくても呼ぶのが原則という裁判官もいるように思われます ・外国?のように否定すべきとは思わない ・慰謝料額の増額が前提となるが、相手方への請求は減額されていくべき ・変更すべき。離婚に伴う慰謝料請求の場合に限り、不定相手への慰謝料請求の有無を、請求原因事実に含めるなどはあり得ても良いのではないか ・金額を物価にあわせて高くするべき。また、不貞相手への請求は制限されるべき ・不貞行為の相手方への慰謝料請求は認めない方向にするのがよいと思う。不貞行為をした配偶者への慰謝料額を上げるべき ・法律で明記されることも判例変更がなされるとも思えない。現状が変更する可能性はない ・離婚に至らない場合の慰謝料の相場は下がるべき