心理的節目1ドル=155円に急接近、日銀会合控え一段の円安に警戒感
(ブルームバーグ): 円相場はこの1週間で心理的節目の1ドル=155円に急速に近づいた。ストラテジストらは、さらに円安が進めば当局による口先介入を誘発し、日本銀行に対する利上げ圧力を強める可能性があると警告している。
円は今月に入り対ドルで3%弱下落し、主要通貨の中で最悪のパフォーマンスとなっている。日本時間17日午後1時現在は前日ニューヨーク終値比0.1%高の154円04銭。ここから下げれば6月以降で最長の7日連続安となり、155円に達すれば11月22日以来となる。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは「155円は大きな節目だ」とし、同水準まで円安が進むと日本の通貨当局の姿勢が変わる上、日銀も利上げに動く可能性が高まると予想する。
オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場は、19日の日銀金融政策決定会合で追加利上げが実施される可能性を約20%織り込んでいる。相次ぐメディア報道により利上げ観測が後退し、月初時点の約60%から低下している。
みずほ銀行でアジア経済・戦略責任者を務めるビシュヌ・バラサン氏(シンガポール在勤)は「この1週間の衰えることのない円安の勢いや方向性は、日銀や財務省にとって安心できるものではない」と指摘。ドル・円が155円を超えれば口先介入が行われる可能性が高く、157円や158円に達すれば日銀への圧力が強まる可能性があると述べた。
円相場の方向性は、日銀の政策決定の数時間前に明らかになる米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合結果にも左右される。野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストはリポートで、日米の会合前後に円安圧力が強まり、ドル・円は155円を上回る可能性があると指摘した。
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Mia Glass, Daisuke Sakai