ネステ、ENEOSらグローバルサプライチェーン。ペットボトル「廃食油」から、サントリーが商品化
サントリーグループが、使用済みの食用油(廃食油)を再利用して作ったペットボトルを世界で初めて商品に導入する。10月28日、記者会見で発表した。 【全画像をみる】ネステ、ENEOSらグローバルサプライチェーン。ペットボトル「廃食油」から、サントリーが商品化 11月以降に伊右衛門ほうじ茶(280mlサイズ)、プレミアムボスブラック(285mlサイズ)、リプトン白の贅沢(280mlサイズ)を対象とし、ペットボトル約4500万本分に廃食油由来の原料を順次導入する※。 ※石油由来の原料と混在した場合、投入量の割合に応じて植物性原料の特性を割り当てる「マスバランス方式」を用いている。
SAFの世界大手から原料供給
サントリーは2030年までにグローバルで使用する全ペットボトルの100%をリサイクル素材や植物由来素材に転換し、化石由来原料の新規使用をゼロにすることを目指し、リサイクルの促進やペット素材の使用量の削減、植物性素材の活用といった取り組みを並行して進めている。今回発表した取り組みはその一環。 ペットボトル本体の原料である「ペット樹脂」は、7割がテレフタル酸と呼ばれる素材。3割がモノエチレングリコールと呼ばれる素材からできている。サントリーは、2013年から植物性素材から製造したモノエチレングリコールを原料に活用した商品を展開している。2023年9月には、「サントリー天然水」の2リットルボトル全数への導入も発表した。 一方、残り7割にあたるテレフタル酸については、研究レベルではウッドチップを用いた代替に成功しているものの、商品への投入は実現できていなかった。 今回発表した取り組みでは、ENEOS、三菱商事、三井化学をはじめ、国内外の複数社でサプライチェーンを構築することで、廃食油を用いたテレフタル酸の製造・商品への活用を実現した。 廃食油から原料となるバイオナフサを製造する工程は、持続可能な航空燃料(SAF)の製造で世界最大手として知られるフィンランドのネステ社が担う。このバイオナフサが、三井化学、ENEOSの手を経てパラキシレンと呼ばれる素材へと加工され、タイに拠点を持つ石油関連原料の世界大手indorama Venturesがテレフタル酸を作り、ペット樹脂を製造する。その後、岩谷産業がペット樹脂の納品までの運用マネジメントを担い、サントリーが自社商品の素材として利用する。三菱商事はサプライチェーン全体のマネジメントを担う。