企業のメインバンク、シェアトップは「三菱UFJ銀行」の9.3万社 メイン社数増の最多は「埼玉りそな銀行」
「地方銀行」のシェア、全業態でトップの40.28%も11年ぶりに前年比低下
業態別にみると、シェアが最も高かったのは「地方銀行」で40.28%だった。全業態で唯一シェア40%以上を維持したものの、2016~2022年にかけて続いたシェア拡大の動きは23年にストップし、24年は11年ぶりにシェア低下へと転じた。 23-24年調査にかけてメインバンクを「地方銀行から変更した」企業約4千社の動向をみると、変更先として最も多いのが「信用金庫」の1768社(構成比43.63%)だった。中小零細企業を中心に、より地域や経営に密着した信用金庫に代わる動きが進んでいる可能性がある。次いで「第二地方銀行」(937社、構成比23.12%)、「メガバンク」(725社、同17.89%)、「信用組合」(308社、同7.60%)が続いた。 シェアが低下した業態では他にも、「メガバンク」(シェア:18.86%)が0.25pt、「第二地方銀行」(9.54%)が0.06pt、「信用組合」(2.43%)が0.02pt、それぞれシェアが低下した。「メガバンク」「第二地銀」のシェアは調査開始の2009年以降で最小となったほか、「信用組合」は2年連続でシェアが低下した。「ゼロゼロ融資」の返済が進んだ企業の取引離脱や、退職したシニア層などによるスモール創業など、明確な主力取引行を必要としない中小零細業者が増加したことも、既存の金融インフラでシェア低下が続く遠因となった可能性がある。 一方で、シェアが拡大した業態では、地域の中小企業に密着した融資や経営問題の解決を得意とする「信用金庫」(シェア:23.60%、+0.01pt)と「ネット銀行」(0.28%、+0.06pt)の2業態だった。
1行単独「シェア過半」、20県 長崎県:十八親和銀行は全国で唯一シェア80%台
企業がメインバンクとして認識している金融機関を各都道府県別にみると、「埼玉県」(埼玉りそな銀行)のほか、「東京都」「愛知県」(三菱UFJ銀行)、「大阪府」「兵庫県」(三井住友銀行)の5都府県で、メガバンクがトップシェアとなった。 1行単独で都道府県内のシェアが最も高いのは「長崎県:十八親和銀行」で、県内シェア84.06%を占めた。2番手の「たちばな信金」(503社、県内シェア:3.25%)、「長崎銀行」(447社、同2.89%)を大きく上回り、1行単独シェアとしては全国で唯一となる80%超えの水準が続くものの、前年からのシェア推移では0.36pt低下した。他にも、「和歌山県」(紀陽銀行:県内シェア63.32%)、「島根県」(山陰合同銀行:同62.17%)、「宮崎県」(宮崎銀行:同60.83%)、「奈良県」(南都銀行:同60.23%)の4県で、1行単独シェアとして60%を超えた。 1行で県内シェア50%超を占める「単独過半数」の都道府県は合計20に上り、2023年に引き続き変化はなかった。25年1月に経営統合となる「青森県」(青森銀行+みちのく銀行:シェア70.92%)、26年5月に経営統合する「福井県」(福井銀行+福邦銀行:同55.43%)を加えると、単独過半数シェアの都道府県は計22となる。