アウディと上海汽車による中国に特化した新ブランド「AUDI」の成否を世界のメーカーが注視する理由
今後、中国でビジネスを展開するためのベンチマークに
実は中国市場への対応策として、すでにアウディに近いアプローチを模索しているメーカーも多い。その筆頭が日本のトヨタであり、すでに中国市場向けに車両開発の現地化に向けた準備を進めている。“日本人が作る中国車ではなく、中国人が中国で作る日本車”が数年後には登場する。 マツダもすでに長安汽車とのコラボレーションを進めており、先日は「MAZDA EZ-6」を発売、2025年には第2弾のSUVも投入予定だ。ほかにもフォルクスワーゲン、ステランティスほかメジャープレイヤーたちが開発の現地化に向けた準備を進めている。 いまや世界最大の自動車市場となった中国だが、ユーザーの嗜好は日本や欧米とかなり異なることも露呈してきた。デジタルネイティブ世代ほどその傾向は顕著で、動力性能や運転性能よりも、いかに車内を快適かつ便利に使えるか(=コネクティビティ)がクルマの最大の価値になっている。 そして、それを実現するのがIT関連技術であり、この分野では中国が先頭を走っている。単なる共同開発にとどまらず、あえて新ブランドを立ち上げたアウディはかつての優位性を取り戻すことができるのか。「AUDI」の動向は、世界中の自動車メーカーが固唾を飲んで見守ることになるだろう。