アウディと上海汽車による中国に特化した新ブランド「AUDI」の成否を世界のメーカーが注視する理由
両社が得意な技術を持ち寄って完成したプレミアムカー
AUDI Eコンセプトのデザインは、外観・内装ともに中国事務所での駐在経験が長いアウディチームが中心となってまとめられた。ターゲットカスタマーの嗜好にあわせ、ドイツ本国とは差別化されたエクステリアデザインが与えられている。インテリアもEVパッケージの利点を生かして広々とした空間を生み出し、4Kタッチディスプレイを全面採用したスマートコクピットによる優れた実用性と車内体験を提供する。 全長4870mm×全幅1990mm×全高1460mm、ホイールベースは2950mm。ちなみに上述のIMモーターズの最新セダン「L6」は、全長4931mm×全幅1960mm×全高1474mm、ホイールベースは2950mm。ボディサイズは若干異なるが、ホイールベースは同じだ。 フロントアクスルとリアアクスルに配置された2基のモーターは、合計で最高出力570kW/最大トルク800Nmを発揮し、アウディクワトロのシグネチャーである4輪駆動と相まって、0→100km/h加速は3.6秒という俊足。駆動用バッテリーの容量は100kWhで、航続距離は700km(CLTC)。800Vアーキテクチャの採用により、わずか10分の急速充電で370km以上の航続距離を回復する。このあたりのスペックも「L6」に近く、短期間でコンセプトモデルまでこぎ着けた秘密がありそうではある。 もっとも注目すべきはインテリジェント機能だろう。車内幅いっぱいに広がる4Kタッチディスプレイは、車両情報/インフォテイメント、デジタルミラーがシームレスに統合されており、直感的な操作が可能だ。中国市場に特化された最新の市街地ADAS(いわゆる自動運転レベル2++)はもちろんのこと、自動駐車、コネクティビティなど本格的な「SDV」としての基本要件はすべて搭載されている。 さらにOTA(オーバー・ジ・エア)による随時アップデートにより常に最新の状態が保たれる。そもそも中国のアウディは比較的若年層から支持されているが、「AUDI」はさらに若いデジタルネイティブ世代に向けて造りこまれるという。 2025年半ばに市販開始されるのは、このシューティングブレークをベースにしたC/Dセグメント車。さらにSUVとラージクラスセダンがその後に続くという。生産は上海にあるSAIC-フォルクスワーゲン安亭(アンチン)工場が担当する予定だ。