日鉄の買収計画阻止で上がる対米投資のハードル 「リスク意識」日米連携に禍根残す
しかし、USスチールの買収案件を巡る米政府の審査に対しては、経団連や日米経済協議会などが政治問題化への懸念を表明していた。日本企業からは「これまで以上に政治や安保のリスクを意識する」(大手製造業の首脳)との声も出ていただけに、対米投資の判断のハードルが上がることは避けられそうにない。経営者が慎重になれば対米投資が鈍り、米国の不利益につながる可能性がある。
また、日本政府が、日米の協力関係の強化に資する案件として日鉄の買収計画を支持していたにもかかわらず、米政府が計画を退けたことは、米国と同盟国間の経済連携にも禍根を残したといえそうだ。
(池田昇)