花王、KDDI、パナソニックコネクトが危機感を抱く、 AI で加速するデジタル広告リスク。広告主がとるべき対応は
業界全体で取り組む
一方で板橋氏は、「たとえば雑誌などであれば、掲載証明として見本誌や掲載誌を出してもらえるが、運用型広告ではそうした掲載証明が作りにくい。だからこそ、この期間にこういうターゲティング、というリッピングされた掲載画面をエージェンシーに提出してもらうという取り組みを行っている」とし、「全部は見られないかもしれない。しかし、健康診断のような感覚でも、期間を決めてでもよいから、自分たちの広告が一体どこに出ているのか把握する必要がある」と述べた。 仙田氏は、「経営層を含めて業界全体で取り組みを進めていくことが大事。そして、まずは広告主の意識改革、あるいは広告の買い方改革を進めたい」と話し、エージェンシーは、広告主に広告の質に対する課題を積極的に説明を、プラットフォーマーは、アドフラウドがどういう状況なのかなど、管理画面レポートの情報提供の拡充を、と要望を示した。 これらの取り組みは、デジタル広告のシェアがさらに伸びていくなかで、広告主が自社を守るため、健全なマーケティングを実現するために取り組むべきことになるだろう。「業界全体でやらなければ、さらに大きな問題となってしまうという意識を持ち、具体的な改善に取り組むことが理想だ」と山口氏はまとめ、まだ対策の意識が薄い広告主に呼びかけた。 より深刻な問題になる前に、正しい道に足並みをそろえて向かわなければならないかもしれない。ジェネレーティブAIというある種のパンドラの箱は、すでに開いてしまっている。 Written by 島田涼平
島田涼平