【箱根駅伝】2連覇の青学大支えたアディダス 「エキデン」はドイツ本社でも共通語に
<第101回箱根駅伝>◇2025年1月3日◇復路◇東京-箱根(5区間109・6キロ) 【写真】青学大アンカー小河原のゴールを迎える選手たちと原監督 青山学院大(青学大)が10時間41分20秒の大会新記録で2年連続8度目の総合優勝を果たした。2015年の初優勝から11大会で、原晋監督(57)は監督別で最多タイとなる8度目の優勝となった。 ◇ ◇ ◇ ドイツで創業したアディダス社。同地に置かれるグローバル本社では「エキデン」の言葉が通じるようになっている。その端緒は12年に青学大と結んだパートナーシップ契約だった。それから13年。今大会では出走した選手の使用率シェアで第1位に。青学大との試行錯誤も、シューズの進化を大いに助けてきた。 担当者が週に何度も練習場に足を運ぶ事もある。試作品ができれば、すぐに試してもらう。同社は「学生はいろいろな人と練習する中で、靴の貸し合いもある。他と比べて改善点なども指摘してくれます」と感謝する。練習メニューによって履き替えも頻繁で、それが一般ランナー向けに貴重な情報にもなるという。 原監督も情報共有に理解を示している。「アディダスとスポンサー契約を結んでいるからというのもありますが、機能が良いから履くんです。数年前はナイキ1強でしたが、それも機能が良かったからです」と説明。「それだけアディダスの機能性は数段アップしているんです。アディダスの靴はかなり進化しています」と太鼓判を押す。 その姿勢に、同社は「すごく誠実に向き合ってくれています。我々も、良い時代もあったり、なかなか商品の力が追いつかない時代もありましたが、ずっと寄り添ってくれました」と感謝する。悪い時期は直近だった。21年に箱根での厚底ブームのけん引役、ナイキ社の着用率が90%を超えた。「それがネガティブな分岐点でした」と商品開発の熱が増した。22年には国学院大とも契約を結び、駅伝は「エキデン」として国外でも通じるようになった。 前回大会では8万2500円の「アディオス Pro EVO 1」が話題となった。同社比で約40%の138グラムと超軽量のマラソン靴。世界的に生産量が限られる中で、3選手に提供し、うち2名が青学大の選手だった。黒田朝、太田ともに区間賞のインパクトは十分。今季は前回大会直後からグローバル本社に働きかけて、靴の確保に奔走した。昨秋に一般販売が決まっていた「PRO4」も夏場の練習で履けるように手配するなど、年明けの大一番へ準備を進めていた。 往路3区を走った鶴川正也(4年)は「この1年はアディダスさんを履かせてもらいました。素晴らしいシューズで走れたので楽しかったです!」と笑顔で振り返った。前哨戦の出雲では6区間中5区間、全日本では8区間中3区間の区間賞が同社のシューズを履いていた。 「本社ではグローバルの視点で見ても、マラソンの6大メジャーぐらい重要かもしれないと考えてくれて、かなりのサポートをしてもらってます」。アディダス社にとっても青学大は最高のパートナー。「いつか正月は日本に行って、エキデンを見るのが夢なんだ」。そんな声もドイツから聞こえてくるという。【阿部健吾】