54歳おひとりさま・きんの「母のために都内駅近新築マンションを手放し、職場からは往復3時間に。それでも築50年の団地を選択して正解だった」
◆“ここに来てよかった”そう思うため、フルリノベーション 8月に母からのSOSがあり、12月には団地暮らしを決断しました。そこから、翌年1月にマンションの内覧者案内を開始し、3月に購入希望者と契約。そして4月に団地に引っ越し……。 我ながらすごいスピード感です。幸いにもマンションは希望額で売れて残っていたローンも完済し、余ったお金をリノベーションに回すことができました。 母が頭金を払った団地は築50年超え。「あとどれだけ住めると思っているの?」という意見もありましたが、それも考慮の上。ですが、実際の部屋を見たときは衝撃でした。 壁紙は剥がれ、床も天井もボロボロでカビだらけ。不便な間取りで脱衣場もなく、入浴時の着替えは玄関から丸見え。狭いトイレ、古びたキッチン、もちろんエレベーターや最新セキュリティもナシ。 都内のマンションとの落差に涙が出そうでした。でも、もう決めたんだから、あとは前を向くしかない。「ここに来てよかった」と思えるような家を作ろうと切り替えました。 最初に取り組んだのはリノベーションノート作り。マンションのチラシやインテリア雑誌から、いいなと思った写真を切り抜いてはノートに貼り付け、イメージ固め。このノートを持ってリノベーション会社に相談に行きました。
◆大変だけど達成感がある まず、3LDKの間取りはおひとりさまには必要ないと1LDKに大幅変更。寝室以外は不要な壁を取り払って、広々したリビングキッチンを実現しました。大きな荷物も受け取れるよう、狭い玄関を2倍に広げ、季節を楽しむためのギャラリースペースも設けました。 トイレとお風呂をひと続きにすることで広くし、脱衣所も確保。そして、窓は全て二重サッシに。費用はかかりましたが、防音とカビ対策、電気代の節約効果もあるので、やっておいてよかったです。 かかったお金は通常のフルリノベーションの3分の2ぐらい。費用を抑えられたのは、地元の業者さんと資材や設備を比較検討し、よく話し合うことができたから。 口癖は「予算がないんです(笑)」「なくても困らないなら省きます」「これはDIYでもできますか」。業者さんが見かねて「オマケするからこれ使ってよ」と言ってくれる場面もありました。 本当に予算がないので、寝室の床はネット通販で購入したシートを自分で貼りました。洗面台も木枠だけ作ってもらい、あとは手作り。 100円ショップやホームセンターでタイルや資材を購入しました。照明やトイレットペーパーホルダーも、楽天市場やAmazonなどのネット通販で買ったものです。 お金のやりくりに頭を悩ませながら、ひとつひとつ自分で選んだもので築き上げた私らしい家。大変だけど達成感があります。 購入した物件がボロボロで住めない状態だったからこそ、決断できたフルリノベーション。その後の団地生活が快適になったことはもちろん、完成までの過程も楽しくてよい思い出です。なにが幸いするかわかりませんね。 ※本稿は、『54歳おひとりさま。 古い団地で見つけた私らしい暮らし』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
きんの
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