筋トレの効果を最大まで高める最良の「呼吸法」……「吸う」「吐く」「止める」だけではどれもダメ
呼吸によるレフ化・その1 【吸息出力】息を吸いながら出力
グッと息を詰めて、「グーッ」といううめき声が出るような「胎息出力」の状態に比べれば、「呼息出力」で息を吐きながら筋出力するほうが、はるかにマシです。 息をまったく止めるか、ほとんど息を止めるに近い状態でやる筋トレの脱力緩解(ゆるむこと)のしやすさを0%だとすると、息を吐きながら筋トレをやることによって30%くらいまでは「ゆるむ」ことができますが、それ以上となると非常に難しいのが現実です。 ところが、息を吸いながら筋トレをやれるようになるともっと脱力緩解できます。これが「吸息出力」で、息を吸いながら出力するやり方です。 「えっ? それでは力は入らないのでは?」と異論をはさまれそうですが、いえ、これは十分にできるのです。 ただし吸息出力は、呼息出力や胎息出力に比べればはるかに難しいといえます。簡単に吸息で筋出力できるようにはなりません。間違いなく格別の練習が必要です。 ですが、だんだんできるようになってくると、全身の脱力、緩解が深く進むようになります。 武術は、歴史的に見ると、脳と身体運動の統合という点ではスポーツ以上の高い水準に達した分野だといえますが、その武術の伝統からすれば、吸息出力ができるのは当たり前のことです。吸息出力で相手を斬り、突き倒すのが当然だったのです。 呼息出力(つまり、息を吐きながら出力する)で相手を打ち、あるいは蹴り倒すような身体使いをしているようでは、吸息出力ができる人には到底、太刀打ちできません。本人も気づかないうちに、あっさりと斬られて終わってしまいます。呼息出力と吸息出力では、それほどの違いが生じるものなのです。 たとえば腕立て伏せの場合は、下の写真のようなタイミングで息を吸います。
呼吸によるレフ化・その2 【レフ音呼息出力】言葉を発しながら出力
2つ目は「レフ音呼息出力」です。 実は、脳にも身体にもレフ化を促すように働きかける言葉があるのですが、そのような言葉の代表格は、「気持ちよく」と「抜けるように」です。 呼息出力に慣れている人には、違和感があるでしょう。「気持ちよく」と言ってしまったら力が入らないし、「抜けるように」なんて言ったら、ますます力が抜けてしまう……そう思って当然です。 しかし、練習すれば誰でも、「気持ちよく」「抜けるように」と言いながら筋出力できるようになります。 また、試しに、小声でいいので、「気持ちよく」「抜けるように」と言いながら、スクワットで立ち上がったり、腕立て伏せでプッシュしたり、腹筋で上体を起こしたりしてみてください。どうでしょうか? この方法は呼息で行いますから、吸息に比べればずっと取り組みやすいはずですが、正しくできるようになるためには、「気持ちよく」「抜けるように」、このメッセージが正しく身にしみるように言うことが不可欠です。全身に、そして主働筋に、深々とたっぷりしみ入るように言うのです。これが本当に気持ちよくできるようになると、身体の力みが本格的にとれるようになり(これを「力みカット」と呼びます)、全身の点検脱力がどんどん進みます。 呼息出力では、うまくやっても脱力、緩解、力みカットが進むのは30%くらいまでです。ところが、レフ音呼息出力ができるようになると、その上限が40~60%くらいまでに上がります。