暴徒化する若者と女性の行進 トランプ就任のアメリカを追う
「47万」対「16万」
どれくらいの人々が「Women’s March」に集まっているのかを見るために、連邦議会議事堂近くに組まれた櫓に登ってみた。前を見ても後ろを見ても、右も左も人人人だった。 イギリスのマンチェスターメトロポリタン大学が写真と映像から行った分析によると、トランプ氏の就任式に参加した人の数はおよそ16万人で、Women’s Marchに参加した人の数は、少なく見ても47万人だという。
トランプ氏が大統領に就任したこと自体よりも、いかに多くの女性やマイノリティの人々が自分たちの将来を考え案じているか、それが垣間見えた瞬間だったのかもしれない。 ここアメリカでは、多くの人が政治に対して自分なりの意見や考えを持って、それを表現し、実際に外に出て行動を起こす。そして、時にはそういった運動が社会を動かし、政治を動かすこともある。 血気盛んな若者たちが行う過激な方法もあれば、女性ならではの平和的な方法もある。やり方は違えど、政治のことを考え、自ら参加する気概を持つ彼ら、彼女らに、華やかな就任セレモニーとは違う、もう一つのアメリカを見た気がした。
---------------------------- ■鈴木雄介(すずき・ゆうすけ) フォトグラファー。1984年千葉県生まれ。音楽学校在学中に好奇心からアフガニスタンを訪れ、そこで出会ったジャーナリストに影響を受けて写真を始める。2010年に渡米し、ボストンの写真学校在学中より受賞多数、卒業後はニューヨークを拠点にフリーランスとして活動中。伝えられるべきストーリーや出来事の中に潜む人々 の感情を、写真という動かないメディアに焼き付け、人に伝えるのを目標としている